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<震災8年4ケ月>帰還途上の町、雑貨で潤い 老舗4代目仮設で再開

仮設店舗で商品の化粧品を確認する鈴木さん

 東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が4月に一部解除された福島県大熊町で11日、震災前に町内で営業していた雑貨店「鈴木商店」が仮設店舗で営業を再開した。東日本大震災の発生から8年4カ月。創業106年の老舗の4代目鈴木真理さん(38)は、住民帰還が始まったばかりの町の暮らしに潤いを届けようと考えている。

 11日午前10時。静かに開店したプレハブの店で真理さんは母孝子さん(67)と一緒に、近くの災害公営住宅から早速訪れた客を笑顔で迎えた。
 営業は週4日。いわき市に再建した自宅から大熊に通う。仮設店舗は町が、避難解除された大川原地区の町商工会事務所敷地に設置。約20平方メートルの小さい店の棚に洗剤など日用品が並ぶ。
 「どこにでも売っている物だけど、遠くのスーパーより近くの商店が頼りにされることもあるからね」
 8年前の大地震直後、JR大野駅前にあった店に客が次々とろうそくを買いに来た。地域の人が困った時こそ必要とされる個人店の役割を実感したという。
 高校卒業後に上京。大手化粧品会社に就職し、美容部員として東京の百貨店で働いた。その経験を生かし、仮設店舗にはよりすぐりの化粧品をそろえた。原発事故後、県内外を転々と避難しながら学んだネイルアートも受け付ける。
 「食品や日用品は日々の生活に欠かせないけど、潤いやときめきもないと楽しくない。ゼロからの町にはなおさら必要。おばあちゃんたちの爪をきらきらにして笑顔にしたい」
 大川原の住民登録はまだ66人。帰還困難区域となった元の店での再開も見通せない。3代目の父清治さん(68)は厳しい環境に営業再開を反対したが、真理さんの勢いに押され今は営業面で協力する。8年余のブランクで失った外商の販路回復に親娘で取り組む。
 11日は隣に、地元の電器店「滝本電器」も仮設でオープンした。真理さんは「風景は変わっても肌で感じる古里は昔と同じ。気軽に寄ってほしい」と話す。


2019年07月12日金曜日


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