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<参院選>復興論議影潜める 被災者「課題深刻化、目そらさないで」

災害公営住宅の前で支持を訴える候補者=11日午後4時10分ごろ、気仙沼市南郷

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、6回目の国政選挙となる参院選(21日投開票)は、復興論議が影を潜めたまま折り返しを迎えた。震災から8年4カ月の月命日の11日、仕事や住まいの再建、原発事故対応は今なお途上。被災地の有権者は「年々深刻化する課題から目をそらさないでほしい」と訴えた。

 「月日を重ねるたび、会社も地域も状況が悪くなっている」
 地方重視の政策を求めるのは、津波に遭った水産加工場を再建した大船渡市の森下水産の森下幹生社長(69)。水産の街は主力のサンマなどで深刻な不漁が続き、原料の確保もままならない。2020年の「復興五輪」のスローガンとは裏腹に、都会との格差が開く一方に思えてならない。
 東松島市で酒店を再建した大江誠さん(69)は震災の風化に加え、10月の消費税10%への引き上げが気掛かりだ。「無我夢中で売り上げを回復させたのに、増税で買い控えが心配だ」と危機感を募らせる。
 娘2人とプレハブ仮設住宅に暮らす気仙沼市の無職及川俊夫さん(76)は、市の区画整理の影響で、自宅再建が年明けにずれ込む見通し。「気仙沼は人口も仕事場も減った」。復興事業の終盤で見えてきたのは街の「衰退」だ。
 岩手県山田町の山田中央団地災害公営住宅の甲斐谷久孝自治会長(59)は「復興は一歩進んだが、住民の6割は高齢者で、亡くなる方もいる」と見守り対応に苦心する。
 20年度末に「復興・創生期間」が終了するが、国の交付金の先行きは不透明。福島県は原発事故の帰還困難区域がなお広がる。
 同県浪江町で津波の被害を受け、隣県の長井市で操業する鈴木酒造店長井蔵の鈴木大介社長(46)は「戻りたくても戻れない。戻らないと決めても生活が苦しい。そんな被災者が必要とすることが数多くある」と政治の認識不足を問う。
 「箱ものを再建し、帰還を押し付けることが復興という誤った思い込みがないか」と問題提起するのは、原発事故集団訴訟の原告団長を務める相馬市の中島孝さん(63)。「復興施策を点検し、被害救済に誠実に取り組む候補者を見極めたい」と話した。


関連ページ: 広域 社会 19参院選

2019年07月12日金曜日


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