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<東通原発>審査5年、なお序盤 直下断層巡り議論長期化 再稼働は先行き不透明

審査申請から5年が経過した東北電力東通原発=青森県東通村

 東北電力東通原発(青森県東通村)の新規制基準適合性審査は、2014年6月の申請から5年が過ぎた。原子炉建屋など重要施設直下の断層に関する議論が長引き、審査は序盤にとどまる。基準地震動(最大想定の揺れ)や設備設計など多くの論点を残し、終了のめどは立っていない。

 6月7日、3カ月ぶりにあった19回目の審査会合。原子力規制委員会側が「準備状況を逐一知らせてほしい。4月に地震動評価を、5月に地下構造を説明する予定だったはずだ」とただした。東北電の担当者は「少し遅れ気味だが、間もなく資料を準備して説明したい」と理解を求めた。
 重要施設直下の断層が後期更新世(12万〜13万年前)以降に活動したことが認められれば「活断層」として再稼働が許されず、廃炉が現実味を帯びる。重要施設の地下を走る断層「f−1」「f−2」「m−a」の活動性の有無が焦点となっている。
 東北電は一貫して「敷地内断層に活動性がない」と主張。現地調査を実施した規制委は後期更新世以降の地層の状況などから、原子炉など重要施設直下のf−1、f−2に活動性がないと確認した。
 ただ、事故時に原子炉などを冷却する海水の取水口直下を走るm−aは、活動性を否定する東北電に対し規制委は「厳密には確認できない」と指摘し、議論は平行線をたどる。
 東北電は最終的に「これ以上の調査での確認は現実的に難しい」と判断。活動性否定の立証を事実上断念し、m−aを避けた位置に別の取水口を設ける方針を示した。直下断層の議論は落着させたが、多額の費用を要する大規模工事に踏み切る「苦肉の策」だった。
 審査は今後、東北電が基準地震動など地震・津波分野の全20項目を年内に一通り説明する予定。当面は重要施設直下以外の敷地内や周辺にある断層の活動性がテーマになる。東北電は代表的な断層として規模の大きい「一切山(ひときりやま)東方断層」(F−1断層)を選定し、3月から追加の地質調査を進めている。
 東日本大震災後、東北電は東通原発の再稼働目標を4回延期し、現時点では21年度以降を視野に入れる。同じく再稼働を目指す女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の審査が168回に上る会合で最終盤に入っており、東通原発の本格的な審議は女川2号機の審査終了後になる。
 東北電は実働6年に満たない自社最新原発の再稼働に向け、取水路新設、断層の追加調査などで強い意欲を見せるが、目指す工程の実現は不透明だ。原田宏哉社長は「先行する事業者の知見を生かし、効率的な審査と安全対策工事の着実な進展で早期の再稼働を目指す」と強調する。


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2019年07月13日土曜日


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