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<劇動・参院選ルポ>(4)秋田/イージス論戦対照的

県庁前で自民現職の街頭演説を見守る佐竹知事(写真上の右から2人目)とイージス・アショア配備に反対する有権者(下)のコラージュ

 「身内」の失態が巻き起こした逆風が、与党陣営を脅かす。
 「言語道断だ」。自民党政調会長岸田文雄は4日、再選を期す現職中泉松司の出陣式で、政権が手綱を握る防衛政策絡みで重大ミスを重ねた防衛省を糾弾した。

<「最少失点に」>
 同省が秋田市の陸上自衛隊新屋演習場を候補地とする地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る問題が影を落とす秋田選挙区(改選数1)。政権与党への不満がくすぶる。
 火消しに追われる自民は、党所属の県選出国会議員が結束して防衛相岩屋毅の謝罪を実現させたと強調。防衛省との距離感をアピールしようと躍起だ。
 中泉を全面的に支援する知事佐竹敬久が「『新屋ありき』では防衛省との再協議に応じない」と強気の姿勢を見せていることも、陣営には援護射撃と映る。
 「与党だからこそ国にしっかり意見していく」と中泉。一方で4日に新屋で演説した際は地上イージスに触れず、演習場に近い勝平地区も素通りした。選挙戦前半は専ら県南と県北を回る。「逃げるつもりはないが最少失点に抑えたい」。陣営は神経をとがらせる。
 党厚生労働部会長小泉進次郎が公示日、真っ先に秋田に駆け付けた。閣僚級を連日投入して敵陣の切り崩しを図る。13日は首相安倍晋三が秋田入りし、14日は湯沢市出身の官房長官菅義偉が県内を終日行脚する予定だ。議席死守を懸けてアクセルを全開にする。

<批判票に照準>
 「秋田にイージス・アショアが押し付けられようとしている。住宅密集地にミサイル基地は置けない」
 7日夕、新屋のスーパー前。野党統一候補の無所属新人寺田静は配備計画に揺れる候補地で声を張り上げた。相手方に吹く逆風を、自陣への追い風にしようと批判票に照準を定める。
 報道各社の序盤情勢では新人リードとも報じられた。能代市で9日、街頭演説した寺田は「ようやく相手の背中が見えてきた」と力をみなぎらせた。与党陣営に肉薄し、士気が上向く。
 不登校や弟を亡くした経験から「声なき声の代弁者」を自任する寺田。国民民主党県連幹部は「実体験を基に訴える姿が共感を呼んでいる」と手応えをつかむ。
 野党各党は県組織レベルの支援にとどめて政党色を消す戦略を取り、無党派層の取り込みを狙う。遊説に大物弁士の姿はない。陣営は夫が衆院議員(比例東北)、義父が前知事という寺田の「政治一家」のバックグラウンドを批判的に捉えられることも警戒する。
 政党色、政治的背景を極力薄めながら、野党各党がいかに票を積み上げるか。共闘の真価が問われる。
 陣営幹部はハッパを掛ける。「高級車(自民)と軽自動車(野党)の戦いだ。本気でギアを入れられたら引き離される」
(敬称略)

 21日投開票の参院選で、全てが「自民現職対野党統一候補」の構図となった東北6選挙区(改選数各1)は各地で激戦が繰り広げられている。16年参院選と同様、与党優位が伝えられる全国情勢とは一線を画す。6県の戦いに迫った。


2019年07月13日土曜日


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