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<参院選東北 争点・論点>改憲急ぐ首相 野党は危機感 議席3分の2攻防激化

宮城県大和町の陸上自衛隊大和駐屯地の観閲式で披露された新型戦車を背景に、憲法改正を訴えるチラシを配る街頭活動(左上)と改憲反対派のデモ行進(右下)のコラージュ

 参院選(21日投開票)で、憲法改正や消費税増税、老後資金不足問題に端を発した年金制度の在り方を争点に与野党が論戦を繰り広げている。東日本大震災の被災地では国の復興・創生期間終了が迫る中、復興のありようも問われる。争点はどう論じられているか。東北での訴えを聞く。


 防衛施設から5キロほどの地で、改憲に執念を見せる首相安倍晋三が問う。

◆明記を約束
 「責任を持って憲法を議論する党か、責任を放棄して議論しない党か」
 山形選挙区(改選数1)で再選を狙う自民党現職大沼瑞穂の応援に駆け付けた安倍。10日夕、東根市の商業施設前で街頭に立った。
 市は陸上自衛隊神町駐屯地を抱える。安倍は「国民の命を守るのは自衛隊。必ず憲法に明記すると約束する」と気炎を上げた。
 2020年の改正憲法施行に意欲を示し、党は参院選公約で9条への自衛隊明記など4項目の改憲案を掲げた。
 その熱意とは裏腹に、改憲の機運は高まらない。共同通信が公示前に実施した世論調査で、現政権下での改憲は反対が50%。賛成は35%にとどまった。
 安倍の隣で笑顔を振りまく大沼は演説で憲法に一言も触れず、自身が議論に関わった乳児用液体ミルクの導入など実績アピールに時間を費やした。
 野党は危機感を強める。参院選で改憲勢力が発議要件の3分の2以上の議席を確保すれば、安倍が改憲手続きを進める可能性が一気に高まるからだ。
 大沼と争う無所属新人芳賀道也は6日、酒田市での個人演説会で「首相は『9条は曲げない。自衛隊を書き込むだけ』と言うが、その向こうが透けて見える怖さがある」とあおった。
 陸海空の自衛隊基地と、米軍三沢基地(三沢市)がそろう青森県。各部隊は海外に派遣され、国連平和維持活動や海賊対処活動支援の任務に当たってきた。

◆個人の希望
 11日に青森市であった社民党演説会。青森選挙区(改選数1)の野党統一候補で、会に臨んだ立憲民主党新人小田切達は「米国の戦争で自衛隊も軍事行動ができるようにするのが改憲の目的だ」と断じ、「国民が改憲の必要性を感じていない中、議論を進めるのは首相個人の希望でしかない」と強くけん制した。
 「前身の社会党結党以来、憲法を守ることを党是としてきた。何としても憲法を変えてはいけない」。駆け付けた社民党幹事長吉川元は老舗の護憲政党としてのプライドをにじませた。
 小田切と事実上の一騎打ちを繰り広げる自民現職滝沢求は「施行から70年以上たった。国民の意識、環境が変化したが、一度も改正されていない。国民のための憲法論議を進める」と改憲の必要性を強調した。
 日本国憲法は不磨の大典か、否か。攻防戦が続く。
(敬称略)=随時掲載=


2019年07月14日日曜日


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