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<参院選宮城 その声届くか>人手不足/各所で慢性化 解消遠く

再建したミヤカンの缶詰工場。慢性的な人手不足に悩む=気仙沼市本浜町

 「水産物の販路拡大を図る。震災からの完全復興には、日々のなりわいを取り戻すことが重要だ」
 9日朝、宮城県気仙沼市魚市場の前で街頭演説した自民党現職の愛知治郎氏は水産業の振興を訴えた。
 街頭演説が終わった、わずか10分後。同じ魚市場の会議室に市内の水産関係12団体のトップが集まり、応援で訪れた自民党水産総合調査会長の衆院議員浜田靖一氏と向き合った。

<支援求め要望書>
 水産を取り巻く現状と課題を訴え、国に支援を求める要望書を提出。各団体が共通の課題として挙げたのが「漁業、水産加工業の労働力不足」だった。
 産業の7割が水産に依存すると言われる気仙沼市。中でも水産加工業は慢性的な人手不足に悩む。同市と南三陸町を管内とする気仙沼公共職業安定所の「製品製造・加工」の5月の有効求人倍率は2.3倍と、全国平均(1.6倍)を上回る。
 「人が足りない。深刻な問題だ」。同市でサンマなどの缶詰を製造する「ミヤカン」の福島庸夫社長(52)は、苦境を訴える。
 東日本大震災で被災し、2015年4月に再開した。毎年5人程度を目標に求人を出すが、この3年間で採用できたのは計6人にとどまる。従業員数はインドネシア人の技能実習生10数人を含む約70人。震災前の10年から1割減った。
 農林水産業の振興を掲げる立憲民主党新人の石垣のり子氏。気仙沼市で11日にあった個人演説会では「市民のための政治が行われていない」などと与党批判に終始し、港町が抱える課題には触れなかった。
 来年11月には市内に冷凍食品製造大手の工場が稼働する。福島社長は「賃金などの労働条件によって、人材が流出する可能性もある」と危機感を募らせる。
 人手不足は、マンパワーが頼りの介護現場でも深刻だ。
 17年、富谷市明石台に開所した特別養護老人ホーム「アルシュ富谷」(定員70人)も慢性的な職員不足に悩む。求人を出してもなかなか人が集まらず、入職しても短期間で離職するケースが多い。

<対策待ったなし>
 運営する社会福祉法人富谷福祉会(富谷市)の関克彦理事長(58)は「仕事がきつく、低収入とのマイナスイメージが根強い。魅力ある職場づくりに努力しているが一法人では限界もある。国レベルでの抜本的な対策が必要だ」と訴える。
 長期的には介護職の価値を若い世代に伝える教育、当面の対応としては60代を中心にした雇用推進を望む。
 団塊の世代が75歳を超え、要介護者の急増が予想される「2025年問題」が6年後に迫る。「高齢化は止められない」と関理事長。対策は待ったなしとの危機感を示す。
(気仙沼総局・大橋大介、富谷支局・藤田和彦)


2019年07月15日月曜日


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