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<参院選東北 営みの中で>婚姻のカタチ/寛容な社会築く一歩に

短冊に願いを託す加藤さん。「全ての人が生きていて良かったと思える社会になってほしい」=盛岡市

<未来描きにくい>
 高校1年の時、初めて同性の恋人ができた。うれしかった。あの頃は付き合えるだけで幸せだった。
 盛岡市の会社員加藤麻衣さん(24)はレズビアン。今、パートナーはいない。「ずっとシングルでいいかな」。でも本心は違う。「そう思わないとつらいから」。恋愛に臆病になっている。
 大学時代、年上の彼女に言われた。「麻衣とは、ずっと一緒にいられない」。二人きりの時につないだ手。人の気配がして急に振り払われた。「見られちゃまずいの」
 同性愛者の恋愛は、大人になると感情だけでは成就させるのが困難になってくる。性的少数者(LGBT)への差別、偏見が見え隠れする社会で、どんな共同生活を営むか。周囲にどう説明するか。息苦しい現実が待っている。
 同性愛のカップルには「結婚」という関係を法的に保障する制度はない。協力・扶助の義務、財産権や相続権、配偶者が医療を受ける際の関与、介護休業の取得…。権利や義務が確立していないのだ。
 「本当は人生を支え合うパートナーが欲しい。でも、長期的な未来を描きにくい」
 同性婚は欧米を中心に30近くの国と地域で認められている。アジアでは5月、台湾が初めて合法化した。
 日本では立憲民主、共産、社民の3党が6月、同性婚を認める民法改正案を衆院に提出した。しかし伝統的家族観を重視する声が根強く、合法化への歩みは遅い。
 「異性愛者にも同性愛者にも平等な婚姻制度が望ましい」。加藤さんは願う。

<多様性を認めて>
 複雑な思いがある。男女共同参画は道半ば。選択的夫婦別姓も認められていない。異性婚を巡る課題すら山積するこの国で、同性婚は受け入れられるのか。「まずは多様な性のありようを知ってもらうのが大切」と思う。
 法律が社会を変えるきっかけになるかもしれないと信じる。同性婚はレズビアンやゲイだけの問題ではない。
 「婚姻の多様性を認めるのは、多様な生き方の尊重につながる」。バイセクシュアルやトランスジェンダー、男性も女性も恋愛対象にならない無性愛者、他のLGBTへの理解も進むだろう。
 「男らしさ」「女らしさ」に縛られる性的多数者にとっても生きづらさを減らす一歩になる。
 加藤さんには夢がある。いつか家族をつくりたい。里親になって子を育ててみたい。秋には仲間と少数者の権利擁護を訴えるパレードを盛岡で行う計画だ。
 七夕の短冊にこう書いた。「パレードが多くの人の人生を前進させるきっかけになりますように」。参院選もそうあってほしい。
(釜石支局・中島剛)


関連ページ: 岩手 社会 19参院選

2019年07月15日月曜日


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