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<仙台市・都心再構築>背景に深刻なオフィス不足 震災で停滞の都市間競争、巻き返し図る

 仙台市が16日、2030年度までの「都心再構築プロジェクト」を始動させた背景には、市中心部の深刻なオフィス不足がある。ICT(情報通信技術)関連企業の誘致、起業家支援に重点を置く経済戦略とは裏腹にオフィス供給は質、量ともに不十分で、企業立地の潜在能力を生かし切れていない。市は老朽ビル更新を糸口に都心部を再生し、東日本大震災で後れを取った都市間競争で巻き返しを図る戦略を描く。
 市によると、市内への企業誘致は震災前の2010年度は5件だったが、震災後の16年度からICT関連の進出が増え、18年には過去最多の40件に達した。一方、10年に19.41%だった市内のオフィスビル空き室率は18年に4.40%まで下がり、逼迫(ひっぱく)している。
 市中心部のオフィスビルは、1981年以前に旧耐震基準で建築された建物が41%を占める。更新時期を迎えたが、建設費高騰などで所有者が二の足を踏み、2013、15、16、18年と新規オフィス供給がゼロと異常な状況が続く。
 「『1000平方メートルのオフィスがあれば進出したい』という声をもらうが、市中心部に該当物件がなく、もどかしい思いをした」。市の担当者は好機を逃した経験を悔しそうに語る。
 首都圏では企業が災害時の事業継続、人材確保のため、地方への拠点分散が進む。23年度には東北大青葉山キャンパス(青葉区)に次世代型放射光施設が完成し、研究開発拠点の誘致が見込める。仙台進出を視野に入れる企業を呼び込む受け皿づくりは急務で、ニーズの高い高機能オフィスなどの早期整備が必要だ。
 市が第1弾で発表した助成制度や容積率の緩和などは、JR仙台駅前のさくら野百貨店仙台店の跡地活用にも使える。郡和子市長は16日の定例記者会見で「仙台駅前には東北のゲートウエー機能がある。未利用や低利用の地域の広がりは大きな課題だ」と危機感を示した。プロジェクト始動が跡地活用に向けた議論の呼び水となることも期待できる。(解説=報道部・小木曽崇)


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2019年07月17日水曜日


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