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<参院選 その声届くか>自治体病院/医師不足財政負担重く

慢性的な医師不足により経営が悪化している涌谷町国保病院

 「病院の負担が年々増えている」。1月に「財政非常事態」を宣言した宮城県涌谷町。4月に急死した大橋信夫前町長は、財政悪化の要因をこう口にしていた。
 同町国保病院(121床)は1988年開設。1万6000町民の健康づくりや医療、介護、地域包括ケアなどを担う町民医療福祉センターの中核的施設だ。慢性期・回復期の患者を受け入れ、急性期対応の大崎市民病院や石巻赤十字病院と機能分担をしてきた。
 診療科は内科、外科、婦人科など12あり常勤医は11人いるが、医師不足により患者の受け入れを制限することもある。そのため病床稼働率は7割超と目標の9割に届かず、入院患者1日当たりの医業収入は同規模病院の平均値を下回る。

<多額の繰り入れ>
 町一般会計から国保病院への繰り入れは2015年度以降、毎年4億円超。町の標準財政規模約50億円の1割近くに上る。ある町幹部は「病院はこれまで町づくりの大きな柱だったが、今は小さな自治体で運営していけるのか不安材料になっている」とこぼす。
 町は6月に財政再建大綱をまとめ、病院事業は一般会計の規模に応じて、適正な運営を心掛ける方向性を定めた。
 遠藤釈雄町長は「少子高齢化や人口減に伴い病院の役割は変わっていく。もし仮に病床を減らしレイアウトを改良するにしても資金が必要。町として自助努力はするがどうしても足りない部分は国や県に財政面で手助けしてもらわなければ立ち行かない」と訴える。
 医師不足は人口減が進む地方の自治体病院経営の大きな悩みだ。医師が1人減れば、年間億単位で収入が減る。

<国の支援が必要>
 人口7万9200の登米市。救急外来も受け持つ登米市民病院(227床)は常勤医が18人と同規模病院に比べ極端に少ない。13診療科があるが、夜間や休日の入院患者の対応をする当直医は、大半を東北大などからの応援医師に頼る。
 今夏には現在7人いる内科の常勤医のうち1人が、年度途中で退職する意向を示している。千葉雅弘病院事業管理者は「大学の医局や県に派遣をお願いしているが後任の見通しは立っていない」と苦渋の表情だ。
 熊谷盛広市長は4日の記者会見で医師不足について問われ「県は医療圏域では医師が足りていると言うが市としては全く足りていない」と説明。「自治体病院の大半は赤字。財政支援を含め国にはもっと深く関わってほしい」と懇願する。
 参院選宮城選挙区に立候補する自民党現職の愛知治郎氏(50)は8日に、立憲民主党新人石垣のり子氏(44)は11日に、それぞれ登米市中心部で演説したが、自治体病院の問題は一切出なかった。
(小牛田支局・山並太郎、登米支局・小島直広)


2019年07月18日木曜日


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