宮城のニュース

<暮らしの中の動物たち>[5]ヤギ(中)命の響き伝える人気者

ヤギに餌をやる子供たち

 私が宮城県川崎町に立ち上げた日本犬牧場には、広い敷地に約30頭の日本犬を放し飼いにしています。家族連れで訪れる人も多いのですが、犬を見に来たはずが、意外と子供たちに人気があるのはヤギなのです。
 ヤギがこんなに人気があるとは、田舎暮らしを始めて分かった発見でした。子供たちは、犬を「かわいい」と言って見はするものの、いったんヤギの前に行くと、しばらくはそこで遊んでいるのです。
 その遊びとは餌やりです。せっせと草を採ってきてはヤギに与えます。1時間でも2時間でも飽きずに与える子も少なくありません。しまいには、帰りたくないと駄々をこねる子までいます。
 考えてみれば、人間は動物に食事を与えて、その食べているしぐさを見ているのが大好きな生き物です。そう言われると、大きくうなずく方も少なくないでしょう。
 家で動物が飼えない子もいます。日頃、慣れ親しむ機会がない子は、初めて間近に見る大きな動物に、少し尻込みして怖がったりもします。そんな時には草ではなく、少し長めの木の枝や笹竹を渡します。これなら、ヤギとの距離が少し離れたところから餌を与えることができるからです。
 子供がしっかりと握り締めた枝へと伝わってくるのは、ヤギがもぐもぐと葉っぱを食べている振動です。この振動は、きっとその子の心に新鮮な感動として響き渡っているに違いありません。
 そうこうしているうちに、子供とヤギの距離はみるみる縮まっていきます。ちょっぴりヤギの鼻の上をなでられるようにでもなれば、その瞬間から動物が大好きな子になります。
 動物との触れ合いは、子供の脳の発達に大変重要な意味があるといわれています(特に10歳ごろまで)。できることなら、子供が小さいうちに動物が身近にいる環境を与えてあげてほしいと願っています。
 子供が自分で世話できるようになったらね、と言う親が多いのですが、それだとちょっと遅いのです。動物のぬくもりや心臓の鼓動、呼吸している命の響きが子供たちの心と体に伝わって、それがいたわりや優しさの源になっていくのです。
(獣医師・川村康浩)


2019年07月19日金曜日


先頭に戻る