福島のニュース

<メガホン>みそぎ/桃田賢斗「外に出るのは怖かった」

 バドミントンの男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(NTT東日本、福島・富岡高出)は、2016年4月に違法賭博問題が発覚し、4カ月後に迫ったリオデジャネイロ五輪を棒に振った。当時の過ちを振り返ることは、今でも「あります」とはっきり言う。
 試合出場停止処分を受けた後の約1カ月、香川県の実家に身を寄せた。「外に出るのは怖かったし、出る気にもならなかった」。家族は賭博問題について何も言わなかった。処分が明け、東京にたつときにだけ、父から「もうやってしまったこと。しっかり反省してちゃんと(みんなに)恩返しして」と言われた。
 5月に復帰し、練習は楽しかった。しかし、試合をすると「周りの目が気になった。縮こまり、相手と勝負していなかった」。安全なプレーばかりに走った。
 プレー以外にも神経は過敏になった。「シャトルを替えるとき(の態度)も、すごく気を使った。また何か言われるんじゃないかとか、どうしたら怒られないかとか考えていた」
 休日はチームメートと飲みに出ることもあった。それでも、「誰かに見られていないか、『あいつ、普通に飲んでるじゃん』と思われないか、と考えてしまう」。気は休まらなかった。
 18年、日本代表に戻った。「プロフェッショナルな雰囲気に引っ張られ、勝負に貪欲になれた」。徐々に競技に集中できるようになった。
 東京五輪が1年後に迫る。「福島、香川の人の信用を失ってしまったと思っている。東京五輪で頑張っているところを見てもらいたい」。五輪は桃田にとって、みそぎの場なのかもしれない。(佐藤夏樹)


2019年07月19日金曜日


先頭に戻る