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<参院選 争点・論点>農業/与野党、強化と保護で応酬

倉庫に積み上げられた新米を背景に、無人走行する最新トラクター(上)と稲が育つ水田(下)のコラージュ

 同盟国の巨大な影が、東北の農村に忍び寄る。
 「参院選後にコメの輸入量を増やしたり牛肉の関税を撤廃したりする密約があるのではないか」
 国民民主党代表の玉木雄一郎が10日、福島県川俣町の街頭演説で、日米貿易協定交渉を巡る政府対応を批判した。米大統領ドナルド・トランプが「7月は選挙がある。8月に大きな数字が出る」とツイッターで発言したことを踏まえた。

<旧民主党が実現>
 環太平洋連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)が発効した。国内農業が国際競争の波にさらされる中、野党勢力は従来の保護政策を主張する。
 「戸別所得補償制度を復活させてほしい」。福島選挙区(改選数1)の無所属新人水野さち子は13日、いわき市の個人演説会で訴えた。
 コメの生産調整(減反)に参加する生産者に10アール当たり1万5000円を支給した上で、価格と生産費の差額を国が補償する制度。旧民主党による政権交代を実現させた看板政策だ。2018年の減反廃止に伴って姿を消した。
 秋田選挙区(改選数1)の無所属新人寺田静は10日、大館市で「地域の農業を守ることが大切だ」と強調。「安心して農家を続けられるよう国が支援しなければならない」と制度復活を呼び掛けた。

<日米交渉を推進>
 「首相は日本の農業を守ることの大切さをよく分かっている。その思いで日米交渉をしっかりやる。全く心配はいらない」
 福島県会津坂下町で10日にあった自民現職森雅子の個人演説会。官房副長官西村康稔が懸命に不安を打ち消した。米国に和牛や日本酒、日本茶を輸出している実績を例に「日本産品の関税も下げてもらわないといけない」とも語った。
 東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島。森自身は原発事故からの復興に演説時間を割き、農業政策を語る場面は少ない。
 会場では「自民政権で着実に米価は回復。コメの直接支払い交付金に頼らずとも所得を確保している」と書かれた党のパンフレットを配布した。農業票を意識した戦術だった。
 秋田選挙区で寺田と争う自民現職中泉松司は公示日の4日、真っ先に秋田市の県農協ビル前で演説した。「秋田は人口減少社会が本格化し、コメの消費は減っている。需要に応じた生産をしなければならない」と指摘。「コメだけに頼らない農業を構築し、状況を打破する。平野部は農地の集積や集約を図り、稼げる農業の実現を後押しする」と声高に訴えた。
 守り重視か、攻めの一手か。論戦は最終盤に入った。(敬称略)


2019年07月19日金曜日


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