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<参院選宮城 劇動>決戦の実像(上)共闘の果実 根付いた関係で金星挙げる

当選を確実にして支持者から花束を受け取る石垣氏(左)=22日午前0時45分ごろ、仙台市宮城野区の事務所

 改選数が2から1に減り、与野党が大接戦を演じた参院選宮城選挙区(改選数1)は、野党統一候補で立憲民主党新人石垣のり子氏(44)が自民党現職愛知治郎氏(50)を約9500票差で振り切り、初当選を果たした。野党共闘による草の根型選挙と、巨大与党の組織戦が絡み合った17日間を振り返る。

 東北最後の議席は、準備期間3カ月足らずの新人が奪取した。

 22日午前0時20分ごろ、仙台市宮城野区にある石垣氏の事務所は歓喜に包まれた。巻き起こるのり子コール。石垣氏は「皆さんと一緒に壁を超えていく」と高らかに宣言した。
 石垣氏と抱き合って喜んだ党県連顧問の安住淳衆院議員(宮城5区)は「逆風だった6年半、したたかに体制を組む知恵が付いた」とまくし立てた。
 宮城の野党共闘は2016年参院選、17年仙台市長選に続いて与党候補を破った。現職、元国会議員を擁した過去2戦とは違い、まっさらな新人を立て国政の場に押し上げた。
 旧民進党が分裂して生まれた立民県連にとっては初の国政選挙となった。「県連と呼べるほどの組織ではない」と県連関係者。陣営の屋台骨を支えたのは、共闘関係を築く各党だった。
 石垣氏が期間中、県南部2カ所で開いた個人演説会を設けたのは共産、社民両党。「足場のない地域でも、各党の地方議員らが足跡を残していてくれた」(陣営幹部)。
 3度目となった共闘は草の根レベルで深化を遂げ、「郡部で差を広げ、仙台でのダメージを最小限に抑える」との自民の目算をも狂わせた。
 自民陣営が党幹部らを次々と投入し、総力戦を仕掛けた中盤には街頭演説に変化が現れた。
 政治家が3代続く名門の対立候補を意識し、街頭では政策を訴える時間を減らし、「弱者の代弁者になりたい」と語り掛ける場面が増えた。陣営のしたたかな戦略がにじんだ。
 興奮に包まれる事務所で、共産の比例候補だった元仙台市議の舩山由美氏(51)は「宮城の底力を発揮できた戦いだった」と明るく振る舞った。

 石垣氏を野党統一候補としたことで、舩山氏は選挙区から比例に回った。共産県議の一人は「党員や支援者から『なぜ舩山を下ろしたのか』とのお叱りは多かった」と明かす。
 国民県連代表の桜井充参院議員は、党参院選挙対策本部長に就き、投開票日を東京で迎えた。選挙期間中は全国の選挙区を行脚したが、地元でマイクを取ることはできなかった。
 8月に仙台市議選、10月には県議選を控える。次期衆院選への対応も見据え、野党各党は石垣氏の金星の勢いを相次ぐ大型選挙につなげようともくろむが、決して容易ではない。
 野党関係者は「全ての選挙区で候補者を一本化するのは難しく、国政と地方選では有権者の判断基準も変わる。簡単な勝負にはならないだろう」と表情を引き締めた。
(報道部・松本果奈)


2019年07月23日火曜日


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