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<参院選秋田>党派色薄め無党派獲得 寺田氏、政治一家の強みも

 野党統一候補で無所属新人の寺田静氏(44)が、再選を期す自民党現職の中泉松司氏(40)との接戦を制した。大物弁士を集中投下した中泉氏陣営に対し、寺田氏陣営は草の根選挙に徹する対照的な戦い方で支持を広げ、最終的に約2万1000票差で勝利した。
 寺田氏を擁立した立憲民主、国民民主、共産、社民4党は県組織レベルの支援に抑え、各党の基礎票を固めつつ流動的な無党派層の取り込みを図った。県内25市町村のうち15市町村で中泉氏の得票を上回った。
 中泉氏が地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備の可否に関する考えを明らかにしなかったのに比べ、寺田氏は配備反対の姿勢を強調し続けた。大票田でもある候補地の秋田市で地上イージス批判層からの票を上積みし、中泉氏を引き離した。
 寺田氏は「政治一家」の顔も併せ持つ。夫の学氏は衆院議員(比例東北)、義父典城氏は前秋田県知事。陣営が党派色を薄めた戦いを貫く一方、水面下では2人が後援者らをまとめていく抜け目のなさも見せた。
 中泉氏は現職の強みを生かして再び勝ち上がる力を欠き、地上イージスを巡る逆風をはねのけることができなかった。
 初当選からの6年間で地盤の秋田市以外に後援会組織を設けず、今回の選対運営は党県連が丸抱えした。急ごしらえの陣営は一枚岩とはならず、自民支持層の一部は寺田氏に流れ、公明の支持も伸び悩んだ。
 安倍晋三首相を筆頭に大物弁士が連日てこ入れしたが、かえって候補者の姿がかすんでしまった。4万票近く減らした得票数は組織戦の失敗を端的に物語る。
 衆院秋田3区で自民候補と争ってきた元衆院議員村岡敏英氏を公示直前に引き入れる「奇策」は十分な合意形成なしで進められ、党県連や党員に不満だけが増幅する結果を招いた。
 地上イージス反対を訴えた寺田氏が当選し、政権が進める配備計画への影響は必至だ。防衛省との再協議を控え、政権与党の候補を全面支援した佐竹敬久知事の姿勢も改めて問われる。
(秋田総局・鈴木俊平)


2019年07月23日火曜日


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