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<参院選東北 劇動>戦いの断面(上)1強の連敗/力任せ 党営選挙不発

落選が決まり、支持者らに深々と頭を下げる愛知氏=22日午前0時30分ごろ、仙台市青葉区の事務所

 巨大与党を再び悪夢が襲った。
 「厳しい戦いだった。責任を痛感している」
 22日未明、宮城選挙区(改選数1)で落選した自民党現職愛知治郎(50)は仙台市青葉区の事務所で、涙をこらえながら、何度も頭を下げた。
 愛知の隣でその様子を見守った選対本部長の県議会議長相沢光哉は「県選出参院議員がいなくなった。深刻だ」と肩を落とした。
 改選数が2から1に減った宮城では前回2016年も党現職が敗れた。陣営は首相安倍晋三、官房長官菅義偉らが相次いで応援に入る「党営選挙」(陣営関係者)に打って出た。
 全国屈指の接戦の末、議席を失った。安倍が執念を燃やす憲法改正に前向きな「改憲勢力」の議席数も憲法改正の国会発議に必要な3分の2に届かなかった。
 東北全6選挙区を「激戦区」とした自民。改憲勢力の維持を狙うには、前回1勝5敗に終わった東北の失地回復が不可欠だったが、結果は2勝4敗の惨敗だった。

 「責任を持って憲法を議論する党か、責任を放棄して議論しない党かだ」。安倍は山形選挙区(改選数1)の党現職大沼瑞穂(40)の応援に訪れた際、東根市の街頭で訴えた。
 宿願達成に向けた力任せの総力戦もかなわず、大沼も無所属新人に競り負けた。陣営幹部は表情をこわばらせた。
 県連会長鈴木憲和(衆院山形2区)は年金問題や消費税増税を念頭に「政策論争がほとんどされなかった」と説明。元五輪相遠藤利明(衆院山形1区)も「地域に根を張らない選挙になった」と唇をかんだ。
 衆院で自民が議席を独占する保守王国でも、激しい追い上げを許した。
 青森選挙区(改選数1)で再選された現職滝沢求(60)を支える陣営幹部は「集会を開け、引き締めを図れ、とげきを飛ばし続けた」と打ち明けた。
 自民は公明と合わせ、改選の半数を超す71議席を得たが、東北では連敗となった。党幹事長二階俊博は21日深夜、「今後の反省事項とし、立て直しを図りたい」と神妙に語った。
 一夜明けた22日、安倍は党本部であった記者会見で「強いリーダーシップを発揮していく決意だ」と強調。与野党に衆参両院の憲法審査会で改憲議論を呼び掛ける考えを示した。
 大型国政選挙6連勝を達成した安倍。東北での敗北を尻目に、悲願達成に突き進む。
(敬称略)

 第25回参院選は自民、公明両党が改選過半数を上回り、安定した政権を運営できる議席を獲得した。その流れと一線を画し、与野党対決となった東北は前回に続き与党が惨敗を喫した。改憲に意欲を見せる安倍1強と、野党勢力が相対した夏決戦の激闘に迫る。


2019年07月23日火曜日


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