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<さまよう民意>盛岡市長選・市議選を前に (上)ごみ処理集約化/市政の火種 議会傍観

柴田副市長(左)に署名簿を手渡す住民団体の代表=6月27日、盛岡市役所

 岩手の県都盛岡で、29万の民意が寄る辺なくさまよっている。「議会」と「行政」は、いかにして自分たちの住民を見失ったのか。任期満了に伴う盛岡市長選・市議選(8月18日告示、25日投開票)を前に検証する。

 市民1515人分の署名の束が積み上げられた。累計は8000筆に迫る。
 「地元でも反対の声は高まっている。再検討を」「市民の声を受け止めて」
 詰め寄る15人に盛岡市の柴田道明副市長が淡々と応じた。「趣旨を踏まえ、慎重かつ丁寧に対応します」
 盛岡を中心に岩手県央8市町でつくる協議会が進めるごみ処理集約化。8市町は3月、新ごみ処理施設の整備候補地を盛岡市西部の土淵地区に絞り込んだ。

◎住民は対案

 「住民合意がないまま計画が進んでいる」と反発する住民団体は、協議会事務局の市に「対案」を突き付けた。「既存施設の延命による分散立地の維持」と「住民参加によるごみの減量と資源化」だ。
 確かに既存施設でも「有害物質の排出は抑制できている」(市廃棄物対策課)。8市町のリサイクル率は葛巻町の30.0%から八幡平市の11.2%まで幅がある。
 対案を検討する余地はありそうだが、市にも言い分があった。施設の集約で処理費用は30年で380億円の節約となる。「処理は公金で賄っている。最少の経費で最大の効果を目指すのは当然だ」(市環境部)
 平行線をたどる市民と行政。本来なら議会の出番だが、38人で構成する住民の代表機関に期待する声はどこからも聞こえない。
 「盛岡では二元代表制が機能していないから」。市議の一人は評論家然として言い放った。
 「議員は地区代表。利害のない地区の議員は傍観するしかない」「最大会派が賛成する案件に口出しするのは、火中の栗を拾うようなもの」。当事者意識は、みじんもうかがえない。
 「膨大な情報に基づいて意思決定する首長に、議会は反論する材料を持っていない」「議会は当局の説明不足をフォローするだけでいい」。議員自身が、議会の権能を全く理解していなかった。

◎理念どこへ

 市議会が2013年9月につくった議会基本条例は「行動する議会」「市民意見の的確な把握」「議員相互の自由討議」とうたう。だが、条例の理念は施行から6年を待たずに劣化していた。
 一時は施設集約化の有力候補地とされた市の「クリーンセンター」。周辺地区では反対運動が後景に遠ざかり、地域住民の関心は廃熱を利用した温水プールなど関連施設の存廃に移りつつある。
 18年度は過去最多の約27万人の利用があった。処理施設が廃炉となれば当然、熱源もなくなる。これを重油で賄えば年間1億2900万円の経費が純増する。
 関連施設の廃止について市は本音を隠し、地元市民は「温水プールは残して」と無心する。新たな火種がくすぶる「市」と「民」。ここでも議会は、人ごとを決め込むのだろうか。
(北村早智里)


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2019年07月25日木曜日


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