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<参院選東北 劇動>戦いの断面(下)激戦の先に/衆院選 双方不安含み

党現職の落選が決まり、悔しさをにじませる御法川信英衆院議員(左)と石井浩郎参院議員。与党は戦略の見直しを迫られる=21日夜、秋田市の中泉氏事務所

<野党間に温度差>
 前回2016年に続き勝利した東北の野党勢力。その視線は早くも「次」に向かう。
 立憲民主党新人石垣のり子が競り勝った宮城選挙区(改選数1)。改選数が2から1に減った前回、今回と連勝し、参院選挙区から自民党を一掃した。
 「野党勢力が戦い方を覚えてきた。衆院選も仙台を中心にいい勝負ができる」。石垣当選が決まった22日未明、衆院議員安住淳(宮城5区)は満足げだった。
 17年衆院選で宮城2区から立ち、自民現職に接戦で敗れた立民県連幹事長鎌田さゆりは、野党共闘で勝った同年の仙台市長選も踏まえ「仙台の風土に反権力がある。流れを次につなげる」と気合を入れ直した。
 16年参院選で5勝1敗と大勝した野党勢力だが、17年衆院選は東北23小選挙区のうち、野党系が勝ったのはわずか5。旧民進党分裂が大きな影を落とした。
 余波は今回も続いた。宮城では石垣擁立を主導した立民と、国民民主党の間に微妙な温度差が表れた。
 野党が強固な地盤を築く岩手も例外ではない。衆院議員小沢一郎(岩手3区)が主導した岩手選挙区(改選数1)の統一候補選定に反発し、国民県連代表代行だった衆院議員階猛(岩手1区)が5月に離党した。
 衆院選大敗からの立て直しの足場は築いたが、先行きは波乱含みだ。宮城の野党関係者は「小異を捨てられる参院選と違い、政権選択の衆院選は各党の利害調整が難しい」とみる。

<「見方はシビア」>
 連敗の与党は戦略の練り直しを迫られる。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を巡る逆風にさらされ、自民現職中泉松司が議席を失った秋田選挙区(改選数1)。党県連幹部は「イージスは全県的争点ではなかったが、自民に対する逆風の土台になっていた」と分析する。
 党県連会長の冨樫博之(衆院秋田1区)は「党が初心に帰り、県民に寄り添う謙虚な姿勢を見せていかないといけない」と神妙な面持ちで語った。
 3期18年の自民現職愛知治郎が敗れた宮城。前回に続く現職の連敗に、党県連に重苦しい雰囲気が漂う。
 愛知の敗戦が決定的となった22日未明。「東北の自民に対する見方はシビアだ」。選対本部長を務めた県議会議長相沢光哉が語りだした。
 「中央を見る目、農業者や水産業者の見る目が違うのか。経済も自民は大都市中心の政策だと厳しく見ているのだろうか」。地方議員生活約40年。地域を知り尽くすベテランが自問自答を繰り返した。
 投開票から一夜明けた22日、記者会見で党総裁任期中の衆院解散について問われた首相安倍晋三。「解散は全く考えていないが、あらゆる選択肢を排除しない」。早くも野党を揺さぶる。
 与党圧勝の潮流に再びあらがった東北。浮動する民意をつかもうと、与野党が繰り広げた攻防劇は次なる舞台に向かって動きだす。(敬称略)


2019年07月25日木曜日


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