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<せんだい進行形>多様な「弔い」に対応 お墓から 海洋葬や樹木葬

松島湾で執り行われた海洋葬
大満寺の霊園内に設けられた樹木葬のエリア
ビュッフェ形式の食事が振る舞われた模擬式

 死者の新しい弔い方が、仙台圏で広がっている。少子化で既存の墓を管理する後継者世代が減っていることに加え、未婚者の増加、核家族化といった生き方の多様化が背景にある。葬儀の方法を自分で決める人も増えており、複合的なニーズに対応した供養のサービスが求められている。(報道部・高橋公彦)

<花手向けて散骨>
 終活関連事業を手掛けるシーウイング(仙台市若林区)は4月、塩釜市のマリンゲート塩釜発着の船で松島湾に遺骨をまく「海洋葬」のサービスを開始。6月に2回の散骨を実施した。
 静岡県の会社員男性(58)は70代の親族女性=仙台市=の遺骨をまくため、親族だけで船を貸し切るチャータープランを選択。海に酒や花を手向けた後で散骨し、黙とうをささげた。
 女性は約10年前に夫に先立たれ、子どももいない。男性は「親族は自分だけで、墓を建てても管理できない。散骨は本人の希望だった。プランには出航前の読経もあり、丁寧に供養してもらった」と感謝した。
 チャータープランの価格は約26万円。ほかに一定数の遺骨を集めて月1回や週1回出航する供養代行プラン(5万〜9万円台)もある。同社には現在、宮城県内から予約が3件、相談も3件寄せられている。
 相原拓也社長は「故人に身寄りがない場合はもちろん、葬儀をしても埋葬する墓がない人、所得が低くて墓を建てられない人もいる。海洋葬という選択肢を知ってもらいたい」と話す。
 散骨は東京湾が知られている。相原社長は「日本三景の松島は風光明媚(めいび)な上、波が穏やかで故人をしのぶのに適した場所。他の地域と差別化できる」と分析する。

<管理問題を解決>
 従来の墓に近い「樹木葬」も人気だ。墓石販売の上東五和(じょうとういつわ)(東松島市)は、仙台市泉区の大満寺で、花や木々に囲まれた環境で供養できる墓地「マイメモリーいずみ」の販売管理を受託している。
 昨年8月に開園し、約150区画のうち約40区画が決まった。佐藤牧観(まきみ)社長によると、仙台市の60〜70代が多く「墓の跡継ぎがいない」「子どもが遠方で墓の管理ができない」「子どもに迷惑を掛けたくない」などの理由が目立つという。
 「いずみ」は永代供養のため、跡継ぎ不在や管理ができないといった問題を解決できる。宗旨や宗派を問わず、1人だけのほか、夫婦や親族、友人同士の埋葬にも対応している。
 樹木葬の価格は通常の墓を購入するよりも安い。「いずみ」の場合、人数や区画のタイプで20万〜170万円台と幅があるが、最も高いケースでも、通常の墓を購入するのに比べ半額程度に抑えられる。
 同社は東松島市の寺で2017年8月に樹木葬の墓地の販売管理を始めた。今年9月には名取市にオープンする。
 佐藤社長は「少子化で従来の家単位の墓の維持が難しくなり、次の世代に引き継がないタイプが増えていく。供養したいという気持ちをかなえていきたい」と話した。

◎会議室で法事 新スタイル提案

 葬祭業のごんきや(塩釜市)は貸会議室大手TKP(東京)と業務委託契約を結び、会議室で執り行う新しいスタイルの法事「感謝のつどい」を提案している。6月下旬には仙台市宮城野区のアパホテルTKP仙台駅北で模擬式を開いた。
 高校教師だった70代男性の一回忌の想定で、市内などから約120人が出席。親戚から寄せられたビデオレターの上映や、ビュッフェ形式での料理の提供など終始、明るく華やかな雰囲気が続いた。
 宮城野区の60代の男性は「親や自分の葬儀の参考にしたいと参加した。一般的な法事と違い、湿っぽくなくて良かった。ゆっくり食事を楽しみながら故人へ思いをはせられるのも魅力だ」と語った。
 同社は宗旨や宗派にとらわれず、故人らしく自由な形式の会費制の法事やお別れ会をホテルや葬儀場で開いてきたが、遺族がより安価で手軽に実施できるよう、TKPと提携した。
 担当者は「法事の在り方やニーズが多様化し、会議室で開く形を考えた。家族や親戚が気軽に集まり、故人への感謝や思い出を語り合ってほしい」と話す。


2019年07月26日金曜日


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