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<聖火への願い 被災地から>子どもらに夢届けて 岩手県スポーツ振興課・三ヶ田礼一さん

金メダルを手に東京五輪への思いを語る三ケ田さん=盛岡市の岩手県体育協会会館

 「復興五輪」をうたう2020年東京五輪・パラリンピックは開幕まで1年となった。東日本大震災の被災地では今も600世帯以上がプレハブ仮設住宅で暮らし、東京電力福島第1原発事故の影響が続く。掲げた理念は実現するのか−。五輪に関わる東北関係者に思いを聞いた。

 <1992年アルベールビル冬季五輪のノルディックスキー複合団体で金メダルを獲得した岩手県スポーツ振興課職員の三ケ田礼一さん(52)は、五輪の持つ影響力を肌で知る>

■注目度は別格
 日本で五輪が開催されることは本当にうれしい。スポーツは「する人」「見る人」「支える人」、全ての人が関わることができ、大勢が夢中になれる。中でも五輪は特別だ。現役時代は各地を転戦したが、五輪の注目度は別格で歓声が地響きのようだった。
 2018年の平昌五輪で仙台市出身の羽生結弦選手(ANA、宮城・東北高出)がフィギュアスケート男子で連覇した際は、すごい盛り上がりだった。今回も地元選手が活躍すれば、被災地に元気を与えてくれるのではないか。

 <小中学生の才能を発掘・育成する岩手県の「いわてスーパーキッズ」事業で未来のオリンピアン育成に携わる>

 子どもたちが夢や人生の目標を見つけられる五輪になってほしい。スーパーキッズ1期生の小林陵侑(りょうゆう)選手は、1998年の長野五輪を現地で観戦して五輪に憧れた兄潤志郎選手と共に平昌五輪出場を果たした。
 勝ち負けだけを見るのであればテレビの方が良いかもしれないが、子どもたちにはぜひ競技会場で五輪の雰囲気を味わってほしい。
 「復興五輪」と銘打っている。国際オリンピック委員会(IOC)や日本オリンピック委員会(JOC)には、被災地の子どもたちをできるだけ多く競技会場に招待してもらいたい。

 <東京五輪で東北の競技会場は宮城県利府町の宮城スタジアム(サッカー)と福島市の県営あづま球場(野球・ソフトボール)に限られ、岩手県に競技会場はない>

 東京五輪は日本で開催されるが、岩手にとっては近いようで遠い。選手ファーストで会場をコンパクトにするのは良いと思うが、やはり人が来なければ盛り上がりに欠ける。

■選手と交流を
 パブリックビューイングなどの企画はもちろん、事前合宿やホストタウン事業で訪れる選手との交流に力を入れてもらいたい。

 <東日本大震災で岩手県山田町に住んでいた三ケ田さんの義母が犠牲になった>

 沿岸被災地ではまだまだ復興工事のトラックがたくさん走っている。「復興五輪」といっても「自分たちのためにやるんだ」と思っている被災者がどれだけいるのか。
 ただ、スポーツをしていたり興味があったりする被災者は多いはずだ。東京五輪が少しでも力になれば、スポーツ関係者の1人としてうれしい。
(報道部・高木大毅)

[みかた・れいいち]1967年、八幡平市生まれ。明大卒。リクルートの社員時代、92年アルベールビル冬季五輪のノルディックスキー複合団体で金メダル。92年度河北文化賞受賞。安比総合開発(現岩手ホテルアンドリゾート)を経て2007年に岩手県教委に採用された。17年から現職。盛岡市在住。


関連ページ: 岩手 社会 東京五輪

2019年07月26日金曜日


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