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<加美町長選>汚染牧草焼却の可否争点に 来月6日告示

宮城県加美町の旧宮崎田代放牧場に保管されている汚染牧草(汚染牧草の早期処理を支援する会提供)

 任期満了に伴う宮城県加美町長選(8月6日告示、11日投開票)で、東京電力福島第1原発事故で生じた国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の汚染牧草の焼却処理の可否が争点の一つに浮上している。新人で元副町長の吉田恵氏(66)は「一番早い方法」と前向きだが、現職の猪股洋文氏(67)は「現実的でない」と否定的だ。3年前まで、基準を超える指定廃棄物の最終処分場建設反対運動で一丸となった町が揺れている。
 町内の汚染牧草は約4090トン。町は400ベクレル以下をすき込み処理する考えだが、用地選びが難航し、本年度の計画処理量は90トンにとどまる。全体の約7割の400ベクレル以上は処理方針すら定まっていない。
 加美町を含む大崎圏域では、試験焼却が最終段階に入った。町が約2000トンを集約管理する旧宮崎田代放牧場の周辺住民らを中心に、圏域の焼却処理に加わる形で、早期処分を求める声が高まっている。
 これを背景に、吉田氏は「すき込みだけではいつまでも進まないし、一般ごみとの混焼は県内の全首長が合意したことだ。安全が確認できたら、圏域の焼却スケジュールに入れてもらえるよう、頭を下げるところは頭を下げたい」と語る。
 対する猪股氏は、焼却灰が搬入される大崎市三本木の処分場周辺住民らの根強い反対感情を踏まえ、「最終処分場問題で強硬に焼却に反対した加美町が手のひらを返して、大崎市での焼却を訴えても到底受け入れられない」と実現可能性が低いとの見方を示す。
 加えて、昨年10月、秋元司環境副大臣が村井嘉浩知事との会談で、指定廃処分の議論再開に前向きな発言をしたことを挙げ、「町は今も建設候補地の一つであることを忘れてはいけない。最終処分場を呼び込むことにつながりかねない行動は慎むべきだ」とくぎを刺す。
 「汚染牧草の早期処理を支援する会」の石垣正年会長(71)は「知事は最終処分場候補地の撤回を国に求めており、当時と状況は違う。むしろ今、周辺自治体と足並みをそろえないと加美町だけが取り残され、20年先も今のまま続く不安がある」と吉田氏に願いを託す。
 「放射能汚染から子どもを守る実行委員会in加美」の尾出弘子代表(66)は「最終処分場問題について意思決定の権限があるのは県ではなく国。なくせ、燃やせというのは簡単だが、影響や安全性はもっと慎重に見極めるべきだ」として猪股氏を支持する。(加美支局・佐藤理史)


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2019年07月28日日曜日


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