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二重行政か、すみ分けか 徹底比較 仙台市・音楽ホールと宮城県・新県民会館構想

 仙台市が整備を目指す音楽ホールと宮城県が検討する新県民会館が、類似点が多いとして「二重行政」と指摘されている。ともに2000席規模の施設を市内に建設する計画だが、想定する公演などのジャンルが異なるとして、市も県も「すみ分け可能」と主張する。市と県のここまでの検討状況を振り返り、立地、規模、機能などを比較した。(報道部・小木曽崇)

<立地>
 「市音楽ホール検討懇話会」(会長・本杉省三日大特任教授)は3月、約1年半の議論でまとめた報告書を郡和子市長に提出。候補地9カ所のうち公表可能な7カ所は全て青葉区で、優劣はつけていない。市は年度内に立地場所を決め、基本構想の検討を始める。
 老朽化した県民会館の建て替えに向けた有識者会議(座長・志賀野桂一東北文化学園大特任教授)は5月、宮城野区の仙台医療センター跡地を「適地」とした。JR仙石線宮城野原駅が近く、面積も5万4500平方メートルあるため集客面などの利便性を評価した。県は有識者会議の議論を受け、年度内に立地を含めた基本構想をまとめる。

<規模・施設構成>
 市懇話会の報告書は、音楽ホールの中核となる「大ホール」を2000席規模と明記した。それ以外に300〜500席の小ホール、音楽リハーサル室、舞台芸術リハーサル室などを備えるよう提言している。
 2000席は、合唱や吹奏楽の全国コンクールを開く要件の一つ。県合唱連盟や仙台オペラ協会など4団体は2015年「楽都・仙台に復興祈念『2000席規模の音楽ホール』を! 市民会議」を発足させた。
 一方、新県民会館の施設構成は県有識者会議が検討中だが、メインホールは2000席規模を前提に議論を進める。ある委員は「東北最大」のうたい文句が興行誘致の利点になるとして「青森市文化会館(2031席)を1席でも上回った方がいい」と主張する。

<機能・想定ジャンル>
 市懇話会の報告書は音楽ホールに適した公演ジャンルとして、クラシックやポップスなどの「音楽」、大型演劇やオペラなどの「舞台芸術」を挙げる。「音楽」に使う際はコンサートホール形式で、「舞台芸術」の場合はクラシックなどに必要な音響反射板を移動し、劇場形式に転換するという。
 一方、県は18年に需要調査を実施。「音楽」と演劇、舞踊など「ステージ」の比率が全国はほぼ半々なのに対し、県内は8対2と偏りがあることを把握した。
 報告書は「需要が少ないとは考えにくく、ステージ公演に適したホールが供給過小」と現状を分析し、新県民会館は「ステージを使う大型興行に対応した大規模施設」と位置付けた。
 「二重行政」批判は、二つの施設がともに演劇の公演を想定したことが要因の一つにある。これに対し、郡和子市長は市議会6月定例会で、ホール内に音が響く長さ「残響時間」を例に機能の違いを説明した。
 「音楽ホールはクラシックに最適な2秒前後にするが、新県民会館はポップスを念頭に1.1〜1.4秒にするという。役割分担は十分に意識されている」


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2019年07月28日日曜日


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