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<ラグビーPNC>悲しみ乗り越え歓声 釜石の新スタジアムで初代表戦 W杯へ上々発進

日本代表の試合を楽しむスタンドの大勢のファン=27日午後4時40分ごろ、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアム

 8年4カ月前、悲しみと絶望に満ちた東日本大震災の被災地に大歓声が響いた。9月開幕のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の会場の一つ、岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで27日、パシフィック・ネーションズカップの日本対フィジー戦があった。運営上の大きなトラブルはなく、W杯に向け、上々の「テストマッチ」となった。
 「両国代表が入場した時は感動で涙が出た。でも震災がなければ、この試合もなかった」。釜石市の看護師菊池佳子さん(43)は笑顔に複雑な感情をにじませた。
 鵜住居に住んでいた両親と姉、祖母を津波で失った。スタジアムは津波で全壊した母校の小中学校跡に建つ。「亡くなった人、懸命に生きる人、さまざまな思いがこもる。だからこそ感動を世界に発信できる」と復興とW杯の成功を願う。
 スタジアムの一角ではフィジー人も懸命に声援を送った。秋田市在住の会社員マヌエリ・ナワルさん(33)は「両国にとってメモリアルな試合。釜石の名前と共に津波の恐ろしさがフィジーの人々に伝わるだろう」と話した。
 釜石市中心部の釜石市民ホールにはファンゾーンが設けられ、パブリックビューイング(PV)やトークショーに大勢が詰め掛けた。盛岡市の主婦初森陽子さん(35)は「チケットは取れなかったが、試合の雰囲気は十分楽しめた。釜石出身なので、こんなににぎわう街を見るのはうれしい」と満足げだった。
 今回の試合ではW杯用に増設した1万席の仮設スタンドを初めて使用した。常設と合わせた1万6000席のチケットは完売した。
 人口3万3000の釜石市では前例のない大イベント。道路渋滞などが懸念されたが、市内外の駐車場、新幹線駅などとスタジアムを結ぶバスの運行は順調だった。
 スタジアムや周辺で8人が熱中症の疑いで搬送されたが、重症者はいなかった。釜石開催実行委員会の担当者は「大きな混乱はなかった。W杯に向けて反省点を洗い出し、油断なく準備を進める」と試合を振り返った。


2019年07月28日日曜日


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