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震災伝承組織、「10年」目前にスタートライン

 【解説】東日本大震災の教訓や経験を国内外に発信し、次世代につなぐ、被災4県の県境を超えた伝承組織が、震災10年目を前にようやくスタートラインに立つ形となった。
 伝承組織の必要性自体は、震災発生後の早い段階から指摘されていた。一方、被災エリアが東北の太平洋側全域に及ぶことや津波、地震、火災、原発事故など被害が多岐にわたったことなどが壁となり、被災地全体を統括する組織の実現に向けた議論は難航し、足踏み状態が続いていた。
 その分、「3.11伝承ロード推進機構(仮称)」は高い関心を集めそうだ。これまで被災地では各団体・機関が単独で伝承活動に取り組んできており、時間の経過とともに活動内容の濃淡や来訪者数の格差が現れ、一部地域で風化が懸念され始めている。機構設立により広域的な連携が動きだし、持続性を持った取り組みも可能になる。
 機構の仕組みを通じ今後、発信される被災地の教訓や経験は、震災以降も災害が多発する国内において防災力向上に寄与するだけではなく、将来的な災害リスクを抱える国外にとっても貴重な知見となるだろう。
 民間主導の機構は、被災地横断的な情報発信と事業展開はもちろん、被災者への利益還元など行政がカバーしきれない部分に積極的に対応すべきだ。「震災伝承のプラットホーム」として大きな役割を果たすことを期待したい。
(報道部兼防災・教育室 北條哲広)


2019年07月29日月曜日


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