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<NPOの杜>地域づくり道標目指す ポラリス(宮城・山元)

花を植えて地域に飾るためのプランターに絵を描く利用者ら。ポラリスは「アート」の力を生かしている
門間さんが完成させた刺しゅう作品

 NPO法人ポラリスは東日本大震災で被災した宮城県山元町で、地域づくりと障害者福祉の推進を目指しています。障害者就労継続支援B型事業所=?=のほか、同町と隣接する福島県新地町の2カ所で「相談支援室ポラリス」を運営。地域住民も共に学んで交流する場づくりにも取り組んでいます。
 山元町は震災で大きな被害を受けました。人口は1995年ごろをピークに減少。さらに震災で、仙台市などへの転出が一気に進みました。
 震災時は町全体が被災した上、元々専門家らが少なく、障害者支援は手薄でした。一方、被災した障害者が抱える生活ニーズはたくさん見えてきました。
 「地域全体が復興しないと障害者福祉を認めてもらえない」。ポラリス代表の田口ひろみさんは当時、こう考えたそうです。
 田口さんは、県外の支援者の力も得ながら、地域全体が元気になるような活動の在り方を模索。2015年にポラリスを設立しました。
 「アート」の力を生かす活動が特徴の一つです。
 就労支援事業では、宮城県南の市町の障害者を含め20人余りが、企業や施設などで就労訓練に参加しています。その際、障害の種類や症状の度合いにより、スムーズに活動になじめないことがあるそうです。
 就労につなげるには段階が必要。まずはそれぞれが「自分ができること」を知り、認められ、自信を持つことが第一歩です。
 「アート活動による自己肯定感の高まりが、就労先での活動や人間関係を円滑にする」と田口さんは言います。
 利用者の一人、門間美佐子さんは刺しゅう作品を完成させました。針をまっすぐ運ぶことが難しかったそうですが、その特性を生かし花火のような弧を描く個性的な作品が出来上がりました。スタッフや仲間から出来栄えをほめられた門間さん。はじけるような笑顔が印象的です。
 ポラリスは「障害者自身も地域づくりの担い手」という信念の下、それぞれの力を引き出す「エンパワーメント」を進めています。
 同時に、就労先の開拓や地域との協働体制の整備にも力を入れています。その分野は産業、観光、文化・芸術、教育など福祉にとどまりません。
 「業種や専門性は違っても、地域の再生や発展を願う気持ちは一緒」と田口さん。積極的に企業の経営者らに対し、利用者と支援者が語り合う「コミュニティーカフェ」などへの参加を呼び掛けています。
 ポラリスとは、道しるべとなってきた「北極星」のこと。過疎化や被災の経験も糧に、山元町ならではの地域づくりを目指す中で、「障害者や地域の人たちの道標になりたい」との思いが込められています。
(宮城県サポートセンター支援事務所 真壁さおり)

[障害者就労継続支援B型事業所] 障害者総合支援法に基づき、一般企業で正規に働くのが難しい障害や難病のある人が軽作業などの就労訓練を行う事業所。宮城県山元町のポラリスは地域をフィールドにした施設外就労を実施。障害者が委託契約先の町内のスーパーや農業施設に出向いて作業している。

NPO法人ポラリス
宮城県山元町高瀬合戦原72の64
電話(ファクス兼)0223(36)7410
メール koguma@polaris−yamamoto.com


関連ページ: 宮城 社会 志民の輪

2019年07月29日月曜日


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