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捕鯨最盛期の鮎川凝縮 高倉健さん主演1957年公開「鯨と斗う男」石巻で8月上映

初公開当時の「鯨と斗う男」のポスター(c)東映

 捕鯨最盛期の宮城県石巻市鮎川を舞台に1957年に公開された故高倉健さん主演の映画「鯨と斗(たたか)う男」が8月2日、同市で上映される。全国屈指の捕鯨基地だった鮎川の中心部は東日本大震災の津波で壊滅した。昔日の古里を思い出してもらおうと同市出身のノンフィクション作家が奔走し、再上映にこぎ着けた。

 映画は全編が鮎川を含む石巻市で撮影され、主演2作目の高倉健さんが捕鯨船の砲手役を演じた。大海原にクジラを追い続ける男たちの意地のぶつかり合いを描く海洋活劇で、鮎川の港や大洋漁業(当時)の解体場、53年に始まった鯨まつりのにぎわい、繁華街の様子など貴重な映像が記録されている。
 鮎川の繁栄は国際的な反捕鯨の動きが強まった70年代から陰りが表れた。商業捕鯨から撤退した80年代以降、地域は衰退し、人口が激減。クジラの町の名残も津波で失われた。
 再上映を企画したのは、石巻市生まれのノンフィクション作家、大島幹雄さん(65)=横浜市=。父親は大洋漁業の社員で南極海の捕鯨にも参加した。昨年8月以降、津波で古里を失った人や鮎川を離れた人と一緒にこの映画を見る機会をつくろうと取り組んできた。
 フィルムは著作権を持つ東映が保管。現在の映画館で使われる機器で上映するにはフィルムをデータ変換する必要があり、数百万円かかることが判明した。
 大島さんは東映側に上映の趣旨を説明し、108万円で了承を得た。全国に寄付を呼び掛けたところ、今年3月に必要額に達した。
 大島さんは「誰にでも古里があり、その風景が奪われても心の中には永遠に刻まれているはず。映画を見ることで決して古里を忘れないという思いを共有できればいい」と願う。
 上映会は大島さんが代表を務める「石巻学プロジェクト」と震災前まで東映映画を扱った岡田劇場(石巻市)が主催する。鮎川でも9月ごろ、上映する予定。
 8月2日は石巻市中央2丁目のみやぎ生協文化会館アイトピアホールで午後1時、3時、6時の3回上映。前売り券は1000円(当日1300円)。石巻観光協会などで扱う。連絡先は石巻学プロジェクト090(2207)8185。


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2019年07月31日水曜日


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