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旧庁舎で揺れた岩手・大槌、町長選告示まで1週間 16年ぶり無投票の公算大

町を二分する論争の末、防災用空き地になった旧役場庁舎跡

 任期満了に伴う岩手県大槌町長選は8月6日に告示される。立候補を表明しているのは再選を目指す現職平野公三氏(63)だけで、16年ぶりに無投票となる公算が大きい。東日本大震災で被災した旧役場庁舎解体の是非を巡って対立した町民の間には、迫る町長選を目前に徒労感が漂っている。

 「無投票は信任の証拠。反対派は声が大きいので目立つが、大多数の町民は平野町長を支持している」。20日にあった平野陣営の事務所開きで、後援会長の阿部山恵造元町議(77)が胸を張った。
 町会計管理者だった平野氏は、2015年の前回町長選で三つどもえの激戦を制して初当選。津波で職員が多数亡くなった旧庁舎の解体を公約に掲げたが、実現には3年半を要した。
 町民の要請でいったんは解体方針を凍結、議会の判断は可否同数、住民監査請求を提起と曲折をたどり、最後は住民訴訟にまで発展した。
 ようやく1月に旧庁舎の解体を終えた町で今、解体反対運動に関わった60代の男性は「公開質問、監査請求、裁判と何をやっても駄目だった」と肩を落とす。町長選にも「民主主義に限界を感じているし、もう余計なことはしたくない」と無関心を決め込んだ。
 前回町長選で平野氏に敗れた碇川豊前町長(68)は「誰も立たない。人材がいない。町に事なかれ主義がはびこっている」と町の現状を嘆いた。
 大槌町は1991年以来、平野氏まで5人連続で町役場出身者が町長を務めてきた。30代の男性自営業者は「民間にも人物はいるが、仕事が忙しい。面倒なことは役場に任せ、文句を言うのが大槌の人の気質かもしれない」と説明する。
 50代の男性自営業者が強調するのは「復興疲れ」だ。「震災から8年以上、復興と生活に追われてきた。4年前はまだ地域再生への高揚感があったが、今はもう争い事はたくさんという気持ち」
 昔は熱心に選挙に関わったという60代の男性は「若い世代が冷めている。町に活力がなくなっているのであれば怖い」と語った。


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2019年07月31日水曜日


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