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「福島ロボットテストフィールド」 南相馬で施工中の大水槽に傾きやひび割れトラブル

大水槽の完成イメージ(福島イノベーション・コースト構想推進機構提供)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興事業として、福島県などが浜通りに整備中の研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」のうち南相馬市原町区で進む水上・水中ロボット試験用の大水槽の建設工事で、傾きやひび割れの発生といったトラブルが相次いでいることが分かった。県は止水処置などを実施したが原因は特定できず、施設の耐用年数への影響を懸念する声もある。

 水槽は「屋内水槽試験棟」の設備の一つで縦30メートル、横12メートル、深さ7メートル。水流発生装置やクレーンを備える。施工は東北建設(南相馬市)が4億3956万円で受注した。
 6月中旬、西側のへりと地面に2センチ程度の段差が生じた。工事では地面を約10メートル掘り下げて鉄筋コンクリート製の水槽を造り、外側を埋め戻した。土留めの鉄板の一部を抜いた際に水槽が傾き、砕石を敷いた土台の一部が沈んだとみられる。
 県は同月24日に現地確認した上で「原因の断定は困難」として、傾きや沈み込みが悪化しないかどうか経過観察することにした。水槽には水を2000トン以上ためるため、土台の耐久性などに関して専門家の見解も聞くという。
 6月上旬には、水槽のひび割れから地下水らしき水が染み出しているのが見つかった。
 ひび割れは厚さ2メートルのコンクリートの内側に10カ所ほど生じ、一部が外側まで貫通したとみられる。県は薬剤を注入して染み出しを止めたが、水槽の外側は埋め戻されており、ひび割れの有無や薬剤の浸透状況を確認できないという。
 工事関係者は「内側を処置しただけで浸水が止まったとは言い切れない。厚みで薬剤は外側まで届いていない可能性がある。残ったひびから水が入って鉄筋に触れればさび、耐用年数は短くなる」と危惧する。
 一連のトラブルについて県ロボット産業推進室は「設計にも施工にも問題はない。特殊な構造物なのでリスクは付きもの」と主張する。東北建設は取材に「発注者である県の指示に従って施工している。詳細を答える義務はない」としている。
 県によると、水槽の工事は2018年8月〜今年6月の予定だったが2カ月ほど延長させた。建屋部分の建設工事は18年12月に始まり、20年2月完了を見込む。


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2019年07月31日水曜日


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