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<仙台・被災判定変更訴訟>入居者の生活再建支援金「取り消し違法」相次ぐ

 東日本大震災後、仙台市がマンションの被災判定を引き下げたことに伴い、公益財団法人「都道府県センター」(東京)が被災者生活再建支援法に基づき入居住民に支払った生活再建支援金の返還を求めた訴訟で、東京高裁で7月にあった3件の控訴審判決が支援金の支給を取り消す処分をいずれも違法と認定したことが分かった。住民側の返還義務を巡る判断は分かれており、上告審での最高裁の判断が注目される。
 取り消し処分を違法認定した高裁判決は、7月18日付の2件と同24日付の計3件。一審は全て東京地裁で二審までの判断は表の通り。3訴訟とも敗訴した側が上告する方針。別の住民による同種訴訟の控訴審も高裁で審理が続く。
 各判決は「取り消し処分は被災者の生活の安定と被災地の復興の支障になる」との認識は一致。被災者に重大な不利益を与え、支援金制度の実効性を失わせる処分は違法と結論付けた。
 ただ、処分を無効とする「例外的な事情」を認めるかどうかで、住民側の返還義務の有無に関する判断が分かれた。
 一審は処分無効を理由に「返還義務なし」とした訴訟(2)の控訴審は、住民側が法定期間(出訴期間)内に処分無効を求める訴訟を起こさなかった点を考慮。「処分が違法でも無効とまでは言えない」と例外事情を認めず、住民側が逆転敗訴した。一審で住民側が敗訴した訴訟(3)も同じ理由で住民側の控訴が棄却された。
 一方、一審で住民側が敗訴した訴訟(1)の控訴審判決は、出訴期間内の提訴の有無に関わらず「処分の不利益は著しく不当で、支援金制度の根幹に関わる重大な瑕疵(かし)がある」点が例外事情に当たると指摘。住民側が逆転勝訴した。
 各判決によると、仙台市は2011年5月、太白区茂庭台の物件を1次調査で一部損壊と判定。同8月の再調査で大規模半壊としたが、その半年後に職権で実施した3回目の調査で一部損壊に判定を引き下げた。

[被災者生活再建支援法]住宅が「全壊」「大規模半壊」の被災判定を受けた世帯か認定区域の長期避難世帯、居住の危険性でやむを得ず住宅を解体した「半壊」世帯を対象に、被災程度に応じ上限100万円の基礎支給金を支払うと定める。他に住宅の再建方法に応じ最大200万円の加算支援金も申請できる。


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2019年08月01日木曜日


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