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<暮らしの中の動物たち>[6]ヤギ(下)感染症予防 薬小まめに

フィラリア症にかかりやすいザーネン種

 ヤギの病気で恐ろしいものにフィラリア症があります。腰まひとも呼ばれ、神経症状を起こします。首が曲がったり、ふらついて歩くようになったり、起立不能になったりするのです。
 フィラリア症と言うと、犬がかかるイメージが強いと思います。蚊が媒介する小さなフィラリア虫が体の中に入り、肺動脈や心臓に寄生するのです。今は予防薬があり、定期的な注射や飲み薬で防げます。
 しかし、犬とは別のフィラリアが存在します。犬に寄生するのは犬糸状虫ですが、ヤギに寄生するのは指状糸状虫です。ヤギのフィラリアは感染すると早期に症状が出るのが特徴で、早ければ3週間で腰まひになる可能性があります。理由は、体に入った虫が神経に寄生するからです。
 大型のザーネン種はフィラリア症にかかりやすく、日本在来種のシバヤギはかかりにくいといわれていますが、全くかからないわけではないようです。特に、牛の農場がある近くで飼っているヤギは、感染のリスクが高まります。
 蚊は、フィラリア虫を保有する牛の血を吸って媒介します。ヤギは、いったん牛の体を通らないと感染しないのです。ちなみに、牛は症状は出ません。ヤギのほか、ヒツジ、馬などがかかります。
 予防薬は犬と同じでよいのですが、通常、犬は1カ月に1度飲ませるのが一般的です。ところがヤギの場合は最短で3週間で発症しますから、1カ月に1度では危険なのです。
 私はザーネン種を飼育していて、腰まひを起こさせてしまったことがあります。駆虫薬を3日間注射し後遺症がなく回復しましたが、発症すると死亡率が高く、治っても後遺症となることが多いようです。私の場合、夕方に症状を見つけてすぐに治療に入れたのがよかったと思います。
 こんな経験からも、ヤギのフィラリア予防は3週間に1度がベストだと思います。その他、食事の中身が急に変化すると、消化不良による鼓張症で命を落とすことがあります。季節の変わり目は特に食べ物の変化が大きくなりやすいので注意しましょう。
 けがも心配です。ヤギの角は頭蓋骨の一部のような作りです。神経も血管も走っていて温かです。そのため、角で柵を突くなどして出血や角の損傷がひどいときには、動物病院での治療が必要になります。囲いの構造や素材には気を付けてください。
(獣医師・川村康浩)


2019年08月02日金曜日


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