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<いぎなり仙台>アート見るべ![5]指し示す方向 命が宿る/定禅寺通(青葉区)

吾妻さん作「時の広場−ピアッツァ・デル・テンポ」
杉崎さん作「神話−A MYTH」

 仙台市中心部の憩いの場、勾当台公園市民広場(青葉区)の円形花壇に、時計の針をイメージした鋭角な三角形のブロンズ彫刻がある。山形市出身で、ミラノで活躍した吾妻兼治郎さん(1926〜2016年)の「時の広場−ピアッツァ・デル・テンポ」。高さ3.6メートル、幅2.6メートル、長さ7.0メートルの大作だ。市の彫刻のあるまちづくり事業で1997年に制作された。
 表面の穴は吾妻さんの特徴の一つで、「別世界への繊細な通路」(詩人の大岡信さん)と評される。階段の下段から上段へ橋渡しするように作られたアーチをくぐれる。
 角田市の彫刻家杉崎正則さん(57)は「上向きの矢印をステージの段差で強調している。指し示す方向性が作品の生命だ」と語る。
 その杉崎さんの「神話−A MYTH」(95年)が、定禅寺通のビル脇にある。こちらは下向き、空が落ちてくる神話がモチーフだ。「仙台が上昇志向だった時代に、下へのくさびが必要と思った」と杉崎さん。
 作品のベクトルを意識すると、まちを見る角度が変わるようだ。(会田正宣)

[吾妻兼治郎さん]吾妻さんは東洋人で初めて、バチカン美術館に十字架の彫刻が収蔵された。禅などの影響を受けた「MU(無)」「YU(有)」シリーズで知られ、宮城県美術館にも「MU−765」がある。杉崎さんは東日本大震災の被災地にモニュメントを制作している。


2019年08月02日金曜日


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