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復興庁存続、格下げ感回避は規定路線 自民、今春に方向性

 2020年度末に廃止となる予定だった復興庁が存続する見通しになった。後継組織を巡る与党の検討過程では内閣府の外局への配置案が浮上したが、現行の首相直轄からの「格下げ」感を避けた。東日本大震災の被災地の世論を強く意識したとみられ、与党内には「今春には存続方針を固めていた」との指摘がある。(東京支社・吉江圭介)

 自民党は7月26日の東日本大震災復興加速化本部総会で、復興庁の存続を盛り込んだ提言案を了承した。吉野正芳前復興相(衆院福島5区)は「被災地にとって本当に必要な体制にできた意義は大きい」と述べた。
 3月8日に閣議決定した復興基本方針の見直しで、政府は「司令塔として各省庁の縦割りを排し、政治の責任とリーダーシップの下」に後継組織を設置すると明記した。具体的な形態は示さず、与党内では内閣府の防災担当部門と併せた上で同府の外局とする案などが取り沙汰された。
 自民党が存続へ軌道修正したようにも映るが、加速化本部の幹部は「基本方針の見直し時点で既定路線だった」と強調する。「司令塔などの機能は金融庁のような外局では担えず、復興庁の存続を指す。3月には政府与党の方向性は定まっていた」と振り返る。
 加速化本部の谷公一事務局長は「防災と同じ組織に統合すると、震災復興の業務が手薄になる可能性がある。被災者は納得するだろうか」と説明する。
 安倍晋三首相は元々「防災省」構想に消極姿勢を示してきた。与党が存続を提言する時期を慎重に検討し、参院選の争点化を避けて8月に設定した。
 連立与党の公明党は災害対応から復旧、復興まで一元的に担う「復興・防災庁」の創設を主張していた。6月に発表した参院選公約ではその記述が消え「復興庁の機能を継続」と見直した。幹部は「政府の考えと整合性を取る必要があった」と明かした。
 7月3日の政府復興推進委員会で、内堀雅雄福島県知事は後継組織への専任閣僚の配置を要望した。「存続」は固まっていたが、被災自治体の意見も踏まえたことを演出した形だ。
 今後は21年度以降の存続期間などに焦点が移る。自民党内からは「原発事故からの再生を考えれば、3年や5年では被災地の理解は到底得られない」との声が出ている。


2019年08月02日金曜日


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