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<仙台市議会 改革のカルテ>[1]低い評価/基本条例いまだなし

改革度が低いと評価される仙台市議会。「基本条例の未制定が全ての元凶」と指摘される
江藤俊昭教授

 仙台市議選(8月16日告示、25日投開票)が近づいている。108万市民の代表が集まる市議会はこの4年間、どんな改革に取り組み、どんな政策提案に汗を流したのか。他市との比較を交え、130年の歴史を刻む議会の現在地を探る。(5回続き)

 不名誉な「低位置」を今年もキープしてしまった。
 早大マニフェスト研究所(東京)が6月に発表した2018年度の議会改革度ランキング=表=で、仙台市議会は20政令市議会で19位に甘んじた。16年度は17位、17年度は18位で、毎年後退を続けている。
 18年度の改革度は仙台が同年8月、政務活動費のインターネット公開を始めたことを反映していない。それでも、マニ研の長内紳悟招聘(しょうへい)研究員は「議会基本条例の未制定が全ての元凶。住民意見を踏まえた政策づくりも、議員間の自由討議もない」と手厳しい。

制定の動きゼロ

 議会基本条例は既に16政令市議会が制定する。仙台も前任期の11〜15年に「議会機能充実推進会議」で議論したが、実現には至らなかった。現任期は制定に向けた動きが一切なかった。
 議会の役割や責務を明記する基本条例は「地方議会の憲法」とも呼ばれる。ランキング1位の堺市議会は議会報告会、議員間の自由討議、市長が議員に質問趣旨を確認できる「反問権」を条例で位置付けている。
 基本条例のない仙台市議会は、全国の議会が挑戦する議論活性化に乗り遅れていると言える。長内研究員は「基本条例を早く整備して党派を超えて熟議し、首長に負けじと政策を練り上げるべきだ」と指摘する。

答弁調整が手間

 本会議の一問一答形式は13政令市議会が採用する。仙台も13年度に導入している。当初こそ議員が連日、一問一答を武器に市側を追及したが、最近は1年に1、2人しか使わない。「事務方との答弁調整が手間」というのが理由らしい。
 現任期は改革が手付かずだったわけではない。16年9月定例会以降、決算審査に分科会方式が加わり、きめ細かく審議する体制が整った。18年度は政令市議会で初めて、大学生のインターンシップ(就業体験)を実施し、若者が政治に参画する動機づくりを試みた。
 斎藤範夫議長は「仙台市議会が何もしていないわけではない」と強調。「基本条例制定で満足し、実態が伴わない議会が全国に少なくない。基本条例に固執せず、個別の改革を議論し、先進的な取り組みを進めたい」と独自路線を貫く。
(報道部・田柳暁)

◎江藤教授の目/過程「見える化」必要

 地方自治の専門家に仙台市議会の現状はどう映るのか。地方制度調査会委員も務めた山梨学院大の江藤俊昭教授に論評してもらう。

 「何もしていないわけではない」というのは、横並びの改革で自己満足しているにすぎない。率先して改革を進める姿勢が大事だ。市民の議会不信の背景には「何をしているのか分からない」という認識がある。水面下で落としどころを探るような運営は、市民が議会の判断を検証できず問題だ。議会報告会を開くなどして意思決定の過程を「見える化」しなければ、市民との距離は縮まらない。

[えとう・としあき]1956年東京都生まれ。中大大学院法学研究科博士課程満期退学。山梨学院大助教授を経て99年から現職。専門は地域政治論。第29、30次地方制度調査会委員を歴任した。著書に「地方議会改革」(学陽書房)など。


2019年08月03日土曜日


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