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<仙台市議会 改革のカルテ>[2]政策立案/条例、30年で5件だけ

人と猫との共生条例の提案を前に議員有志が開いた市民説明会=5月10日、仙台市役所

 仙台市議選(8月16日告示、25日投開票)が近づいている。108万市民の代表が集まる市議会はこの4年間、どんな改革に取り組み、どんな政策提案に汗を流したのか。他市との比較を交え、130年の歴史を刻む議会の現在地を探る。

 自治体議員の提案で制定される「政策条例」は、議会の政策立案能力を測るバロメーターとされる。
 仙台市議会は今年6月、野良猫トラブルに対応する「人と猫との共生条例」を議員提案で成立させた。現任期では、2017年の防災・減災のまち推進条例に続く政策条例となった。

使われぬ図書室

 政令市移行後、30年の歴史を刻む市議会だが、政策条例は5件にとどまる。
 02年に落書き防止条例を世に送り出した後、11年も政策立案能力を「温存」。13年に空き家対策条例を制定すると、15年に歩行喫煙防止条例を定め、その後は2年に1件ペースが続く。
 全国の政令市議会では2000年以降、さいたま市が18件、福岡市が16件制定し、仙台市は後れを取る。ベテラン議員は「政策条例には全会一致の慣例がある。全会派の一致点を見いだすのが容易ではない」と低迷する理由を説明する。
 政策条例の少なさからか、議会棟1階にある議会図書室の利用も低調だ。約1万冊の蔵書があるが、18年度に借りた議員は全52人のうち延べ7人、閲覧は延べ12人。「宝の持ち腐れ」と言われても仕方がない。
 二元代表制の下、議会は首長との対等な関係を要求される。しかし、実態は情報量もマンパワーも首長側が段違いに多く、議会は常に圧倒されている。
 近年、こうしたいびつな関係を是正しようと、議会図書室への司書配置、公立図書館との連携などに取り組む議会が増える。議会独自の情報源から、首長側とは異なる視点や客観的資料を得る試みだ。
 仙台市議会には、まだその動きはない。別のベテラン議員は「議会図書室は使い勝手が悪い。インターネットで調べた方が早い」と環境の未整備を嘆く。

意見書も低水準

 議会の意思を国などに表明する意見書の可決も少ない。現任期中は12件。前任期は26件、前々任期は25件で最近の低水準が際立つ。
 問われるのは議員の政策力。市議会は17年、一定割合の議員が同じテーマを研究する際、職員に資料収集や条例案の作成補助を依頼できる仕組みを取り入れ、立案能力に磨きをかける。
 猫との共生条例は、この仕組みから生み出された。提案者代表の議員は「みんなが少しずつ理解を深め、議会全体の合意形成につながった」と振り返った。
 新たな試みは改選後、その真価が問われる。
(報道部・田柳暁)

◎江藤教授の目/実効性あるかが重要

 地方自治の専門家に仙台市議会の現状はどう映るのか。地方制度調査会委員も務めた山梨学院大の江藤俊昭教授に論評してもらう。

 政策条例の制定実績は議会の政策立案能力を測る指標だが、数だけでは真の実力は見えない。実効性ある条例を立案したかどうかが重要。パフォーマンスで制定しても意味はない。付帯意見や決議を駆使し、首長側に政策を作らせたり、予算に反映させたりすることも政策立案の一つだ。首長提出の条例も可決して終わりではなく、効果や不備を追跡して検証していく役割が議会にはある。


2019年08月04日日曜日


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