山形のニュース

原発避難者を個別支援 山形県、災害ケースマネジメント適用 生活再建へ専門家ら対応

 東日本大震災や東京電力福島第1原発事故に伴う避難者への自立支援策として、山形県は本年度、一人一人の状況に応じた生活再建計画を立てて継続支援する「避難者ケースマネジメント」を導入した。震災後、東北の被災地で生まれた災害ケースマネジメントの手法を原発避難者に適用する全国初の事例となる。
 避難の長期化で多様化、複雑化する個別事情に対応するのが狙い。事業期間は2年。避難者を受け入れる市町村が実施主体となる。
 就労や健康など複数の生活課題を抱える避難者を想定し、生活支援相談員らが戸別訪問で把握した状況を基に対象者を決める。
 個別の再建計画は市町村の関係部署や社会福祉協議会、NPO法人などで構成するケース会議で策定。各種支援制度を組み合わせたり、専門機関と連携したりして課題解決を図る。県は社会福祉士や精神保健福祉士らをアドバイザーとして派遣する。
 本年度は5世帯を見込み、ケース会議を3回ずつ開く予定。事業費は研修会の開催費とアドバイザー派遣費の約45万円で、復興庁の被災者支援総合交付金を活用した。
 福島県から全国への避難者は3万1483人(7月10日現在)。うち山形県内には1647人が避難している。山形県は2013年から生活支援相談員らが全戸訪問調査を実施。子どもが不登校になったり親が離婚して孤立したりするケースが出ている。
 県復興・避難者支援室は「震災から8年以上がたち、1世帯で複数の課題を抱える例もある。避難者支援の枠組みから各地域の支え手に助けてもらう仕組みをつくる必要がある」と説明する。
 災害ケースマネジメント制度に詳しい日弁連災害復興支援委員会の津久井進委員長(兵庫県弁護士会)は「家庭不和や経済苦、病気など生活課題の原因が多様で個別性が高い原発避難者にこそ効果がある。孤立が懸念される避難者に社会資源が結集して対応する必要がある」と指摘する。
 災害ケースマネジメントは仙台市が初めて本格的に導入し、16年の台風10号豪雨で甚大な被害が出た岩手県岩泉町や熊本地震の被災地でも取り入れられた。鳥取県が昨年度、全国で初めて制度化した。

[災害ケースマネジメント] 被災世帯を戸別訪問して被災状況を聞き取り、個々の実情に沿った計画で継続的に支援する手法。介護保険制度のケアプラン(介護計画)の発想を取り入れた。必要に応じ、法律家や保健師、建築士といった専門家が対応する。米国で2005年に発生したハリケーン「カトリーナ」による被害の際、連邦緊急事態管理局(FEMA)が始めたとされる。


2019年08月04日日曜日


先頭に戻る