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<参院選>各党注力 時代の空気変化 上智大・三浦まり教授に聞く

みうら・まり 慶大法学部卒。米カリフォルニア大バークレー校政治学博士課程修了。専門は現代日本政治論。著書に「日本の女性議員 どうすれば増えるのか」(編著)など。東京都生まれ。51歳。

 政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)が施行されて初の国政選挙となった参院選は、東北6選挙区の3人を含め28人の女性が当選した。女性が躍動する政治の実現に向け、どんな意義があったのか。上智大法学部の三浦まり教授に聞いた。(聞き手は東京支社・橋本智子)

 今回の参院選は女性が28人当選し、過去最多だった前回2016年参院選に並んだ。現職が多い与党に対し、挑戦する立場の野党が積極的に新人の女性を擁立し、メディアも各政党の候補者や当選者の男女比を報道するようになったのは、今までになかった動きだ。
 28人の数字だけを見ると、前回から増えていないとも言えるが、惜敗した女性候補が何人もいる。安倍晋三首相も「(自民党は)より多くの女性候補を立てるべく努力したい」と発言するようになった。均等法によって、時代の空気が変わってきたことを印象付けた選挙だったと思う。
 全国32の改選1人区で10人の野党統一候補が当選した。うち女性は宮城、秋田などの5人。現在の男性中心の政治では、こぼれ落ちていた子育てや介護といった争点を地域課題と結び付けて丁寧に訴えたことが一定の支持を得た。
 少子化が進む日本が持続可能な社会をつくるためには、政治の意思決定に女性の参画が欠かせない。野党の結果を自民党も意識するならば、その流れを次期衆院選や3年後の参院選につなげることが大切だ。
 今回は投票率が48.80%で過去2番目の低水準。特に10代の投票率が低かった。若い世代にとって、与野党の対立構図が見えづらかったことが要因にある。
 しかしながら、対立軸はとても明確だ。自民党は強い国家をつくることが何よりも重要で、ある程度の基本的人権が制限されてもやむを得ないとの姿勢。野党側は個人それぞれが幸福を追求できることが重要で、安倍政権下での憲法改正は必要ないとする。
 与党と野党には、国家なのか、個人なのか、という理念の違いがある。与党は国家を強くするために、例えば低賃金の外国人労働者をたくさん受け入れるといった主張の一貫性がある。野党は労働時間を規制したり所得を再分配したりして、個人みんなが幸せになるという政策を掲げる。
 消費税、年金、原発、女性政策など争点をばらばらに示されると各党の違いは分かりにくいが、描く社会ビジョンは全く異なる。選挙はどちらのビジョンを選択するかということを、有権者に訴える必要がある。
 対立軸が見えれば、若者も自分の立ち位置を認識できるようになるだろう。


2019年08月04日日曜日


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