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原発賠償 「潜在的被害ある」日弁連、延長必要性周知へ

原発賠償の有識者によるシンポジウム=7月27日、東京都内

 東京電力福島第1原発事故の損害賠償を巡り、日弁連は賠償請求権の時効期間を現行の10年から20年に再延長するための立法措置を国に要望する方向で検討を始めた。未請求の被害者が今なお多い被災地の現状を考慮した。7月27日には東京都内で「原発賠償シンポジウム」を開き、今後も時効再延長の必要性を広く知らせていく考えだ。
 日弁連は、3年の時効を10年に延長するための特別措置法を制定するよう求める意見書を2013年7月に国へ提出。同12月に国会で法案が可決された経緯がある。今回も意見書提出に向けて理論的課題の解消を図るとともに、被災自治体との連携を模索する。
 シンポジウムでは、弁護士や大学教授らが時効の再延長に関して議論。日弁連の小池達哉副会長は「事故から間もなく10年を迎えるが、潜在的な被害はまだまだある」と述べた。
 東電への賠償請求は、主に(1)直接請求(2)裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立て(3)訴訟提起−の三つの方法がある。うち全国で約1万2000人が提起した30件弱の集団訴訟はいずれも判決が確定していない。
 東京弁護士会の大森秀昭弁護士は「司法が東電の賠償をどう判断するか非常に重要な時期に来ており、判決を踏まえて請求に踏み切る人も多いだろう。そうした状況下での時効成立は認められない」と指摘した。
 迅速な解決を掲げるADRも、長期化や協議打ち切りが目立つ。福島県弁護士会の渡辺真也弁護士は「ADRは当初の想定より時間がかかり、協議の決裂後に提訴する場合は時効まで残り2年弱しかないのが実情だ」と説明した。


2019年08月05日月曜日


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