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<仙台市議会 改革のカルテ>[4]傍聴環境/主権者置き去り 今も

常任委員会の傍聴席。昨年9月から議員に事前配布された説明資料の閲覧や提供が始まった

 主権者は一体誰なのか。仙台市議会のバリアーだらけの傍聴環境は、そんな根源的な疑問を抱かせる。
 議場の傍聴席では最近まで、議案書の閲覧ができなかった。常任委員会や特別委員会では、市が議員に配布した説明用の資料が傍聴者に配られなかった。

やっと資料配布

 「資料の3枚目をお開きください」。議員や市執行部は当然のごとく議案書や説明資料をめくり、議案審査を進めた。傍聴者は資料の内容が分からぬまま、議論を見守るしかなかった。
 主権者を置き去りにする異常な環境は、2018年9月にようやく一歩改善された。市議会は議場での議案書の閲覧、各委員会での説明資料配布に重い腰を上げた。しかし、「当日配布資料は委員会終了後に提供する」など、理解に苦しむルールがなおも残る。
 市民団体の議会ウオッチャー・仙台が「傍聴者は議論が分からない」と不満の声を上げたのは11年前だった。なぜ、旧弊はつい最近まで変わらなかったのか。
 議会事務局によると、議員の間で「(傍聴環境は)今のままでいい」「(変えるなら)基準を細かく話し合うべきだ」などの意見が堂々巡りし、議論が前進しなかったためとみられる。
 先進地との格差は広がる一方だ。さいたま市議会は議員への配布資料を傍聴者に全て提供する。ウェブサイトに整備した「議会資料検索システム」にも会議の10分前にアップする。過去の資料も検索できる優れもので、傍聴者ばかりか、議員も積極的に活用する。

一蹴された願い

 仙台市議会のバリアーは他にもある。議会棟にエレベーターがないのもその一つ。車いす利用者が本会議を傍聴する場合、市役所本庁舎のエレベーターで3階まで上がり、渡り廊下で議会棟に入り、昇降機で4階の傍聴席に行く必要がある。
 16年2月定例会。車いす利用者の団体は昇降機を使わずに入れる議場内での傍聴を求め、市議会に一蹴された。傍聴は「障害者差別解消条例」の可決を見届ける目的だったが、差別を感じる皮肉な結末となった。
 「市民の代表が議論する神聖な場に議員以外はふさわしくない」。願いを断ち切ったのは一部議員の特権意識だった。主権者は自分たちであるかのような勘違いに等しい。車いす利用者の一人は「時代錯誤も甚だしい」とあきれ返った。
 議会ウオッチャー共同代表の泉田元子さんは「主権者に傍聴してほしいという姿勢が全く感じられない。傍聴者に名前や住所を書かせるなど理屈が分からないルールも多く、監視されているようだ」と指摘する。
(報道部・横川琴実)

◎江藤俊昭教授の目/市民参加促す工夫を

 仙台市議会の傍聴環境の悪さは、議員が自分たちのことしか考えていないことの表れ。後ろめたい部分がなければ、傍聴者に説明資料を配ったり、貸し出すなど対応は簡単なはずだ。議会事務局も頭が固すぎると言わざるを得ない。愛知県犬山市議会は、議場内で市民が市政への提案をできる仕組みをつくり、政治参加を促している。仙台市議会も市民に身近な存在となるよう工夫すべきだ。


2019年08月06日火曜日


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