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<東京五輪 受け継ぐレガシー>先達目標に「王国」築く

日本選手権5000メートル決勝を走る相沢(手前左)と遠藤(130)。刺激し合う関係が「王国」をより強固にする=6月27日、福岡市

 高校駅伝で3位

 6月にあった陸上の日本選手権5000メートル決勝で、福島県出身の2人が激しくぶつかった。共に学法石川高出身で、同校で「最強世代」と呼ばれたランナーだ。今、東北から世界へと羽ばたこうとしている。
 箱根駅伝を制した東洋大主将の相沢晃(22)は1万メートルで、3000メートルU−20(20歳以下)日本記録保持者の遠藤日向(ひゅうが)(20)=住友電工=は5000メートルで2020年東京五輪を狙う。日本選手権は相沢が5位、遠藤は僅差の7位だった。
 「2人とも五輪への強い思いがある。力量的にも十分」。学法石川高の松田和宏監督(45)は自らの手を離れた後も、教え子の活躍を見守っている。
 「学石(がくせき)」の愛称で知られる同校は、中・長距離種目と駅伝の強豪だ。昨年の全国高校駅伝は過去最高の3位に輝いた。遠藤ら最強世代を上回る成績を残すことができたのは、確固たる指導法を持つ証しでもある。
 同じ練習をこなせば自分たちも速くなれるはず。後輩は先輩の背中を追い掛ける。3年の田島洸樹主将(17)は「目標は都大路初制覇。先輩に負けられない」と志を高く持つ。
 「福島に恩返し」

 1964年東京五輪のマラソンで銅メダルを取った円谷幸吉さん(1940〜68年、須賀川市出身)を生んだ福島。「陸上王国福島」という呼び名が、誇りを持って使われてきた。
 福島陸協の三浦武彦理事長(52)は「95年の福島国体で、大都市でないと難しい陸上種目の総合優勝を果たしたのを機に『陸上王国』という言葉が地元で使われるようになった」と言う。
 今年1月の全国都道府県対抗男子駅伝で、福島は東北勢初の優勝に輝いた。最終7区、アンカーの相沢はたすきを2位で受け取ると、25秒差をひっくり返して優勝テープを切った。まさに王国の面目躍如だ。
 福島では89年以降、市町村対抗の「ふくしま駅伝」が開かれている。ここで見いだされた才能を育てることが層の厚みにつながっている。
 東日本大震災は競技にも大きな影響を与えた。東京電力福島第1原発事故以降、陸上人口は減っていると関係者は口をそろえる。選手も指導者も危機感を持ち、大会での活躍を強く意識する。
 相沢は2024年パリ大会では花形種目のマラソンに挑む考えだ。「自分の土台を作ってくれた福島に恩返しがしたい。応援してくれる人たちの思いを背負って走っている」
 相沢のいる東洋大の酒井俊幸監督(43)も学石の出身。「円谷さんをはじめ、連綿と続くつながりが福島にある。相沢にはみんなが憧れるようなランナーに、ヒーローになってもらいたい」。熱い思いが王国の礎を築いている。


2019年08月06日火曜日


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