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<仙台市議会 改革のカルテ>[5完]議員の働き方/育児と政治両立に壁

常任委員会に出席後、保育所へ長女を迎えに行き、家路に向かう若林区の女性議員(左)

 政治は「女性活躍」と叫ぶ割に女性議員の労働環境に鈍感だ。仙台市議会にもその一端が垣間見られる。
 若林区選出で2期目の女性議員(34)は、「出産」を理由に議会を休んだ第1号となった。2017年5月の長女出産に伴い、6月定例会などを欠席した。

産後すぐに復帰

 復帰したのは7月上旬。産後わずか1カ月半だった。市内で3件目となる中学生のいじめ自殺事案の発生を踏まえ、市議会が設置した全議員の調査特別委員会が初会合を控えていた。
 「重要な市政課題を抱え、ゆっくり休んでいられなかった」と振り返る。夫が育休を取り、自営業の母と自宅で長女を世話した。
 国会議員や地方議員には労働基準法に基づく産休や育休は適用されず、各議会が会議規則などで定める。
 仙台市議会は15年、全国市議会議長会の標準規則改正に合わせ、議会の欠席理由に「出産」を追加した。それ以前は、出産する女性議員が「都合により」と申し出るしかなかった。
 現在は、全20政令市議会が「出産」を規則に定めている。遠野市や東京都町田市など10市議会は「育児」も欠席理由に入れている。
 女性議員の労働環境に注目が集まったのは、最近では熊本市議会の「子連れ市議」騒動が大きい。
 17年11月、女性議員が生後7カ月の長男を抱いたまま議席に着き、他の議員と押し問答になって本会議の開会が遅れた。女性議員は議会に託児などを検討できないか相談したが、前向きな回答が得られず強硬手段に出た、としている。

「託児所整備を」

 仙台市の議会棟には託児所がない。乳幼児を連れた市民が市議会を傍聴する際は、議員関係者が会派控室で子どもを預かることもある。女性議員はそもそも子どもを連れて来ていない。
 女性議員の割合は改選直後の時点で07年が16.7%、11年が23.6%、15年が25.5%と増加の一途をたどる。若林区選出の女性議員は「託児所があれば、議員も傍聴者も女性は安心して政治に参加できる」と将来的な整備に期待する。
 議会の働き方改革では、効率的な議会運営を図るため、ペーパーレス化が課題とされる。市議会議長会の18年度調査では、議場内でタブレット端末が使用できる市議会は30%を占める。
 仙台市議会は現任期中、議会運営委員会や各派代表者が先進地を視察したが、公式な議論はなかった。
 「ガラケー(従来型の携帯電話)を愛用する議員は、タブレット端末にアレルギーがある」「ペーパーレス化は時代の流れ。改選後に実現する」。若手議員から、こんな声が上がる。
(報道部・上村千春)

◎江藤俊昭教授の目/社会に率先して行動

 群馬県榛東(しんとう)村議会は、女性議長の妊娠をきっかけに会議規則を改め、出産や育児に伴う欠席を認めた。子育ては女性議員のみならず、男性議員にも関わるテーマ。古い意識を変え、こうした動きを広げるべきだ。他の議会の取り組みに触発され、改革に目覚める議会が増えている。社会の変化に合わせて議会の在り方を不断に見直し、率先して行動することが、これからの地方議員には必要だ。


2019年08月07日水曜日


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