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<仙台市議選>ポスト復興を問う(1)音楽ホール/候補地に公園 批判の声

音楽ホールの候補地となっている緑豊かな西公園=7月下旬

 仙台市議選は16日に告示され、109万都市の針路を巡って真夏の論戦が始まる。東日本大震災からの復興を経て、人口減少時代のまちづくりへ。郡和子市長が市政の軸足を移す中、都心の活性化や若者定着、郊外団地の再生など課題が顕在化する。有権者の声に耳を傾け「ポスト復興」を考える。

 都会のオアシスに巨大な人工物が出現するかもしれない。

遊び場守りたい

 7月下旬、子どもたちが樹木につるされたブランコではしゃぎ、木陰でこま回しに夢中になっていた。仙台市中心部に位置し、広瀬川沿いに連なる西公園(青葉区)。格好の遊び場となっている広大な自然空間が、市が検討する音楽ホールの有力候補地となった。

 「西公園プレーパークの会」は15年にわたり、年間200日以上も大人を常駐させ、西公園で子どもたちの遊びを支えている。

 副代表の佐々木健二さん(54)は「音楽ホールが単なるハコモノなら嫌。遊び場のオープンスペースは守りたい。整備するなら魅力的な公園になる方法を示してほしい」とくぎを刺す。

 市が公表した青葉区の候補地7カ所のうち、6カ所が公園だった。郡市長は「にぎわい、回遊性を考えれば公園も(建設地として)あり得る。その場合は緑の代替を議論する」と理解を求める。

 「西公園は緑も歴史的資産も多い。調べるほどに学ぶべきことが見つかる教科書みたいな場所だ」

 「西公園を遊ぼうプロジェクト」代表の関口怜子さん(73)が言う通り、公園には仙台藩祖伊達政宗ゆかりの「臥龍梅(がりょうばい)」、市保存樹林のヒマラヤシーダ林があり、石碑が数多く立つ。

 関口さんは市と協力し、140年を超える公園の歴史を学ぶ勉強会、秋祭りなどを開催する。「ここに巨大な構造物を建てると言うなら今までの取り組みは何だったのか、という話になる」と矛盾を感じる。

場当たり的計画

 批判は政策形成の足元からも噴出する。市の緑化政策を議論する杜の都の環境をつくる審議会は3月、「公園は空き地じゃない」と候補地選定に異を唱えた。

 西公園は2007年度に始まった再整備事業の真っ最中で、19年度も約1億円を投じる。仮に西公園に音楽ホールを建設するとなれば、再整備との整合性を間違いなく問われるが、市建設局は「まだ何も決まっていない」と歯切れが悪い。

 そもそも候補地は、市が1992年に音楽堂整備構想を掲げて以来、太白区の長町南地区、あすと長町地区など転々とした。構想自体も財政難を理由に長く凍結された時期があった。

 東北大の杉山丞(すすむ)特任教授(都市デザイン)は、こうした場当たり的にも見える経緯から「20世紀に整備できなかった施設をいま造るのではなく、いま必要な施設を考えるべきで、杜の都の緑を生かす場所の選定が必要だろう」と指摘する。
(報道部・小木曽崇)

[音楽ホール]有識者による市音楽ホール検討懇話会は2019年3月、市中心部に「生音源に対する音響を重視した2000席規模の多機能ホール」が必要と提言した。建築面積は9000〜1万1000平方メートルを想定。市は候補地として青葉区の公園と広場の7カ所を公表した。西公園は市民プール跡、市民図書館跡、お花見広場の3カ所がリストアップされた。


2019年08月09日金曜日


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