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震災小口融資30億円が未回収 3県社協 重い延滞利息、被災者の負担に

震災直後に被災者に配られた緊急小口融資などの冊子

 東日本大震災後の生活費として被災者らに最大20万円を融資した緊急小口資金特例貸し付けを巡り、岩手、宮城、福島3県で貸出額の3割に当たる約30億8000万円が未回収であることが各県社会福祉協議会への取材で分かった。返済期限を大幅に過ぎており、社協関係者は「回収を一部猶予する救済策が必要だ」と指摘する。(報道部・高橋鉄男)

 融資を運営する3県社協の貸出額や未収額はグラフの通り。震災直後に3県合わせて約6万8000人、総額96億2900万円を貸し付けた。3年以内の返済が求められたが、借り主の4割が滞納している。金額ベースの返済率は岩手81.2%、宮城66.6%、福島62.8%にとどまる。
 借り主のうち、死亡や自己破産で1751人(約2億850万円)が返済免除となった。各県社協は残る借り主に督促状を送り返済を促しているが、仮設住宅からの転居などで行方が分からない借り主が宮城だけで3042人に上るなど、回収は難航している。
 宮城県社協は2016年以降、電話や訪問に応じない16人に対し簡裁への支払い督促申し立てや民事調停に踏み切った。半数が支払いに応じたが、手間やコストがネックになっている。
 問題は返済期限の3年を過ぎると年10.75%の延滞利息が課せられ、借り主が返済意欲を失う点だ。このため県社協は、延滞利息を取らずに回収を元金のみに絞ることを検討する。
 県社協の東海林一浩生活支援課長は「震災から8年たち、生活苦の人もいる。他の福祉融資制度の原資になる元金の回収に専念した方がいいのではないか」と提案。一方、原資を負担した県は「支払いを終えた人と不公平が生じる」(社会福祉課)と慎重だ。
 緊急小口資金の回収は市町村社協の担当者も協力するが、人数は少ない。東海林課長は「回収業務の煩雑さを踏まえれば、大災害時の被災者支援は貸し付けより現金給付を手厚くしてほしい」とも訴える。
 社協が窓口の融資では、生活費や住宅再建に最大450万円を貸し出す生活復興支援資金も震災を機に設けられた。3県で346人に約2億5000万円を融資し、返済期間中の人も含め金額ベースで52.0%が未回収という。

[緊急小口資金特例貸し付け]東日本大震災後に被災者や避難者の当面の生活資金に充ててもらおうと、低所得者向けの公的融資制度の特例として全都道府県で実施された。所得制限を設けない無利子、保証人不要の貸し付けで1世帯当たり10万円、4人以上の世帯などは上限20万円。融資後3年以内に完済する必要がある。原資は国が4分の3を補助し、残りは都道府県が負担した。


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2019年08月10日土曜日


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