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<変わる大学入試>東北の現場から(上)不安 地方の情報不足課題

共通テストの最新情報に耳を傾ける親子=7月7日、仙台市青葉区の河合塾仙台校

 大学入試改革の一環として導入される「大学入学共通テスト」の実施まで1年半を切った。「思考力・判断力・表現力」を重視して出題形式が大きく見直されるが、実施手法を巡る混乱も続く。東北で約3万人が挑む新試験への動きを追った。(報道部・佐藤素子)

 高2には浸透

 「記述式の問題は、練習すれば難しくはない」
 仙台市青葉区の大手予備校、河合塾仙台校で7月上旬、「大学入試まるわかり説明会」があり、高校1、2年生と保護者約30人が講師の話に耳を傾けた。
 説明会では昨年11月に大学入試センターが行った試行テストや、6月に河合塾が作った模擬試験の分析結果などを詳しく解説した。
 泉高1年の男子生徒(16)=富谷市=は「早めに志望校を決めて準備したい」、仙台市宮城野区の公立高1年の女子生徒(16)は「英語の外部試験の選び方や受験スケジュールが参考になった」と話した。
 河合塾仙台校は、東北各地の高校の求めに応じて共通テストの概要を説明し、「高校2年生には情報が浸透してきた」という。
 一方、同じ河合塾が5月に全国の親子を対象に行ったアンケートでは、約600人の回答者の4割が共通テストへの不安を訴えた。「どう変わるか分からない」との回答は都市部以外の地域が多く、地方への情報伝達が課題として浮かび上がった。
 大学入試改革は、グローバル社会で活躍できる人材の育成を目指し、従来の「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」の評価を重視。国語と数学に記述式が、英語に外部試験が導入される。
 数学で計画されていた文章記述が数式になるなど、出題形式の変更もある。白石高の西村吉史教諭は「受験に影響するさまざまな情報がさみだれ式に寄せられる。意識して情報を取っているが、気が抜けない」と打ち明ける。

 二極化の懸念

 センター試験は平均点6割を目安に作られているが、共通テストの設定は平均点5割と難易度が上がる。国語の問題文には実用的な文章を扱い、知識を活用した考察の過程を問うなど作問も大きく変わる。
 テストは変わるが学校の授業は変わらないため、大手予備校は共通テストの出題形式に慣れるための対策を本格化させている。
 共通テストの導入が「難関大学を狙う受験生よりも、地方国立大志願層に影響があるようだ」(河合塾仙台校)とする声や、「共通テストを避け、AO入試や推薦入試に向かう生徒が増える」(進学プラザグループ)と二極化を懸念する声も出ている。
 共通テストは現行の学習指導要領に沿って作られるが、既卒生向けの問題は作成されない。最後のセンター試験となる2020年春の入試は、浪人を避けようと、早くも安全志向がみられるという。
 河合塾仙台校の渡辺貴吉校舎長は「むしろ上位校を目指すチャンスととらえ、果敢に挑戦してほしい」と訴える。

[大学入学共通テスト]2021年1月に初回を実施予定。国語と数学で記述式問題を導入。英語は4技能「読む・聞く・書く・話す」を評価するために民間資格・検定試験を活用する。英語については、23年度までは大学入試センター作成のマークシート式問題と併存し、24年度以降は民間試験に一本化される見通し。


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2019年08月11日日曜日


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