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<変わる大学入試>東北の現場から(下)対策 合否左右 英語底上げ

授業の内容を英語で説明し合う生徒たち=7月13日、仙台市宮城野区の東北学院高

 大学入試改革の一環として導入される「大学入学共通テスト」の実施まで1年半を切った。「思考力・判断力・表現力」を重視して出題形式が大きく見直されるが、実施手法を巡る混乱も続く。東北で約3万人が挑む新試験への動きを追った。(報道部・佐藤素子)

 東北学院中・高(仙台市宮城野区)の英語の授業。高校2年生が2人一組になって、教科書の内容について英語で話し合う。
 英語科主任の小黒智之教諭は「積み重ねで、思ったことを伝えられるようになってきた」と評価する。

話す力を養成

 同校は英語教育改革を掲げ、昨年度からリスニングとスピーキングに力を入れている。8月中旬に中高生を対象に3日間のスピーキング中心の集中講座も開く。岩上敦郎副校長は「昨年は参加者の大半が満足してくれた」と手応えを語る。
 大学入試改革は英語の4技能「読む・聞く・書く・話す」を重視しているのが特徴だ。改革の一環として、2021年1月に始まる大学入学共通テストのリーディングとリスニングの配点は、現在のセンター試験が200点と50点なのに対し、それぞれ100点に見直される。
 仙台二華高(若林区)の大野智彰教諭は「従来の受験勉強では生徒の発信力や想像力は生かせなかった。4技能の評価で入試は良くなる」と歓迎。別の英語教諭は「リスニングは耳に入ってくる文章を理解できる能力が必要だ。教える側の力量も試される」と表情を引き締める。
 英語では民間の資格・検定試験の活用も大きな変更点になる。これらを活用する大学の多くは、語学力の国際標準規格「CEFR(セファール)」の6段階評価で下から2番目の「A2」(英検準2級程度)の実力を求めている。現役生の場合、高校3年時に2回まで受けられる試験の結果が合否判定などに反映される。

往復に4時間

 東北の受験生の多くは受検しやすい英検や「GTEC(ジーテック)」を選ぶとみられるが、負担増への懸念は消えない。大学入試センターなどは家庭の経済状況や居住地に影響されないよう、試験会場の確保や検定料への配慮などを実施団体に求めている。
 毎年約120人が国公立大を志望する田名部高(むつ市)は現在、民間試験のために貸し切りバスの利用を検討する。試験の会場となるのは往復4時間かかる青森市。嵯峨弘文教頭は「生徒の移動を楽にしてあげたい。センター試験は学校が会場なのだが…」と話す。
 いかに英語力の底上げを図っていくか。教育現場の悩みも尽きない。宮城県南の公立高英語教諭の一人は「リスニング力の向上のために教材を多く与えたいが、保護者の負担は増やせない」と打ち明ける。
 出題内容や受験の条件まで大きく変化する大学入試。中でも「英語が合否を左右する」。予備校関係者は口をそろえる。

[英語の民間試験活用]大学入試センターが運営する英語成績提供システムが、参加要件を満たした外部試験・検定の成績を一元的に管理して受験生の出願大学に提供する。「出願条件」「点数として加点」「共通テストの英語の得点との置き換え」など、大学側がそれぞれ合否判定に活用する。


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2019年08月12日月曜日


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