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震災遺構 地元の教育利用進まず

児童の見学に向け、荒浜小でガイド(右端)の説明を受ける宮教大付属小の教員

 東日本大震災の被災地の学校が、震災遺構の利用に二の足を踏んでいる。被害を繰り返さないための震災伝承が望まれる一方、被災した子どもへの配慮が求められるジレンマを抱えているためだ。
 「普段明るく振る舞っていても、ふとしたきっかけで被災体験がフラッシュバックすることもある。遺構の見学には慎重にならざるを得ない」。震災で家族を亡くした児童も通う宮古市鍬ケ崎小の佐々木ふじ副校長が打ち明ける。
 市内には2016年に公開された遺構「たろう観光ホテル」がある。同小は校内に震災前後の町の写真などを展示して防災学習に力を入れるが、津波の爪痕が生々しく残る遺構は一度も訪れたことがない。
 他の学校も事情は同じで、同遺構を18年度に訪れたのは市内33の小中高校のうち3校にとどまる。
 佐々木副校長は「震災後に生まれた子どもたちが3年生になっており、伝承は避けられない課題だ」と今後の遺構活用を検討する。
 仙台市若林区の遺構「荒浜小」も地元の利用が少ない。18年度に訪れた小中高107校のうち市内は21校だった。
 同市榴岡小は昨年秋、5年生全員で荒浜小を見学した。震災で被災した児童もいたが、学年便りで保護者に理解を求め、担任と学年主任が本人と面談した上で実施したという。
 当時5年の担任だった教員は「子どもたちの理解が深まり、表情が変わった」と学習効果を実感。「他の学校でもぜひ活用を検討してほしい」と呼び掛ける。
 仙台市は本年度、宮城教育大と連携して作成した荒浜小を活用した指導の手引書を市内の小中学校に配った。19小学校に対し送迎バスの費用を全額補助するなど利用を促している。
 手引書の作成に携わった宮教大防災教育研修機構の小田隆史准教授(防災教育)は「子どもたちは将来、伝承の担い手になる。個別の配慮は必要だが、それを言い訳にして利用を諦めては風化が進む。地元に防災教育の空白をつくるべきではない」と話す。


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2019年08月15日木曜日


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