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免許返納者も気軽に墓参りを 仙台・みやぎ霊園、自宅間を無料送迎

送迎に使う車を点検する遠藤課長(右)ら

 仙台市の公益財団法人アタラクシアが運営するみやぎ霊園は、運転免許証を自主返納した高齢者向けにワゴン車での墓参りの無料送迎サービスを実施している。高齢ドライバーによる重大事故が多発する中、自宅と霊園間の送迎で墓参りの足を確保し、事故を防ぐ取り組みだ。利用者からは「免許がなくても気軽にお参りできる」と好評を博している。
 今月初旬、青葉区の夫妻が初めてサービスを利用した。4月に免許を自主返納した夫(76)と共に専任ドライバーの運転で丘陵地の霊園を訪れた妻(72)は「車でないと行きにくいけど、タクシーはお金がかかって大変。市内に住む子どもたちにも生活があるから頼みづらい。サービスがあって助かった」と喜んだ。
 霊園がJR仙台駅からの無料送迎に加えて新たなサービスを始めたのは2017年9月。お参りに訪れた高齢者が霊園内でアクセルとブレーキを踏み間違ったり、シフトレバーの操作を誤ったりして事故を起こすケースが相次いだことが理由だ。
 管理事務所業務課の遠藤洋晶課長は「霊園の設備ならまだしも、他人の墓石を壊してしまうと双方に負担が大きい。利用者の安全のために始めることにした」と説明する。
 サービス対象は霊園使用者とその家族で、1日1組限定。事前に登録し、予定日の3営業日前までに予約する必要がある。運行範囲は霊園使用者の多い仙台、名取両市とその周辺に設定した。
 現在サービスに登録している利用者は仙台市在住の約30人。全員60代以上で、80〜90代が多い。利用回数は1家族につき年間3回。利用が最も多いのはお盆で、春と秋の彼岸や月命日の申し込みもある。
 宮城県警によると、1〜7月に運転免許を自主返納したのは4208人で、前年より797人増。一方で、免許を自主返納した高齢者に対する交通支援は、市町村が運行する住民バスなどの無料乗車券や回数券の交付のほか、県タクシー協会加盟社の割引、東北アクセス(南相馬市)による高速バスの割引しかない。
 遠藤課長は「今はまだ運転できるが、免許を自主返納したら申し込みたいという声が多い」と潜在的なニーズを指摘。「一事業者では限界がある。他の法人にも生活の足の確保に向けた支援策を考えてもらい、一緒に高齢者を支えていきたい」と呼び掛ける。

[みやぎ霊園]仙台市青葉区郷六に1966年開園。一般のほか芝生の墓地など計6500区画を備え、公益財団法人が運営する墓地としては東北最大。墓地購入者の約9割が60歳以上で、大部分が自家用車でお参りに訪れる。


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2019年08月15日木曜日


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