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<岩手県知事選 現場からの報告>高校再編計画、復興に影 被災沿岸部、格差拡大を懸念

今後の高校再編の在り方を話し合った地域検討会議=8日、釜石市

 岩手県教委が進める「新たな県立高校再編計画」に、東日本大震災で被災した沿岸市町村が不安を募らせている。現在進行形の少子化を学校の統廃合で乗り切ろうとする県教委に、現場は「被災地の将来を託す人材教育は大丈夫か」と反発。教育の現実と理想を巡り、出口の見えない議論が続く。

 「せっかく復興が進んだのに、高校の学級削減は子どもたちに負のイメージを植え付ける。将来的に高校がなくなる心配も大きい」。再編計画に釜石市の小学校教諭は警鐘を鳴らす。
 震災で被災した沿岸部の県立高は計16校。全てが復旧した一方、大船渡や大槌は学級数の削減が進んだ。再編計画に沿った方針で、宮古商と宮古工は2020年度の統合を予定している。
 背景には、人口流出と少子化の問題が横たわる。例えば釜石・遠野ブロックの中学卒業者は、10年度の822人から20年度には527人に減る見込み。減少率は36%となる。
 各高校を小規模化して存続を図る考え方もあるが、県教委は「進路希望に対応した科目の開設や部活動が困難」と否定的。本年度中に策定する後期計画案では、復旧したばかりの高校でも統廃合が進む可能性がある。
 進学校や私学がそろい、産業集積が進む内陸部への生徒流出も現実味を帯びる。実際、17〜19年度の平均で見ると、盛岡など内陸3ブロックで生徒数が転入超過、沿岸部など6ブロックで転出超過と地域格差が埋まらない。
 「今後は1市町に1校は高校が残ることを絶対条件にしてほしい」「地域の格差や特性を踏まえた高校教育を考えてほしい」
 釜石市で8日にあった再編計画に対する地域検討会議では、首長やPTA関係者が高校再編による地域衰退への不安を次々訴えた。
 梅津久仁宏県教育次長は「小規模校が増えると、中学生が進路に迷う悪循環も考えられる。高校の存続と地域の復興を関連付けるのもいいだろうが、子どものためを考えたい」と言い置き、会議を締めくくった。
 「意見は聞くが結論は統廃合ありき、ではないのか」。出席者の一人は納得できない表情で会議室を後にした。
 県高校教職員組合の小野寺正宏委員長は「教員数や財源の問題もある。県としてどのような人材を育てるのか、県教委だけでなく他の部局や民間も含めた県全体の課題として議論すべきだ」と強調する。(盛岡総局・片桐大介)

[新たな県立高校再編計画]2016年3月策定。県内を9ブロックに分け、1学年4〜6学級を望ましい規模とし、ブロックで調整するよう規定した。前期計画(16〜20年度)は全日制63校を60校に、普通科148学級を126学級に削減。後期計画(21〜25年度)では全日制を49〜51校程度、普通科を108〜110学級程度まで絞り込む。前期は一部の計画を延期した。


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2019年08月16日金曜日


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