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16年の台風10号で被災した岩手・岩泉 「生活橋」の復旧に遅れ

流失した生活橋の跡に架けられた仮設橋=岩手県岩泉町鼠入

 2016年8月の台風10号豪雨で甚大な被害を受けた岩手県岩泉町で、河川沿いの民家と対岸の道路を結ぶ「生活橋」の復旧が遅れている。日常生活に欠かせないインフラだが、個人資産の橋の復旧に国や県の支援は見込めない。町単独の補助制度にも厳しい財政事情が影を落としている。
 山あいに位置する鼠入(そいり)集落。鼠入川に沿って続く町道は、所々に変形してさび付いたガードレールが今も残る。
 「ごうごうという川の流れと、大きな石と石がぶつかる音がした。おっかなかった」と中村愛子さん(71)。自宅前に渡されていた生活橋は3年前の8月30日、鼠入川の濁流にのまれた。
 現在は町が鉄パイプと板で整備した仮設橋を利用しいる。「それだけでもありがたいが…」。仮設橋では強度や耐久性に限界があり、強風時や降雪時には危なくて行き来を控えることもある。
 川沿いに民家が点在する町に生活橋は190カ所あったが、台風10号豪雨で73カ所が流失した。本格復旧したのは3年を要して13カ所にとどまる。場所によっては橋を再建するのに100万〜数千万円がかかり、総額では5億円以上になると推計される。
 台風10号豪雨被害は激甚災害に指定され、道路や河川の復旧工事は全額国費で賄われるが、個人資産は対象外だ。
 このため町は、生活橋の復旧に対して1000万円を上限に9割を補助する制度を活用して対応。町財政をやりくりし、これまでに約1億1000万円の予算を計上してきたが、住民は高齢者が多く、1割負担でも出費は厳しい。
 補助財源に充てる寄付金を募る取り組みも始めたが、7月末時点で確保できたのは約1778万円。時の経過とともに募金額は減少傾向にある。
 町は今後、河川改修工事の進展状況を見極めながら生活橋の本格復旧を急ぐ方針だ。佐々木真町復興課長は「住民にとって生活橋は重要。補助制度を活用し、できるところから対応していく」と話す。


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2019年08月17日土曜日


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