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<再生の途上で・塩釜市長選>(中)水産のまち/老舗苦境 環境厳しく

水産加工業者が販路回復を目指した2019塩釜フード見本市=2月、塩釜市魚市場

 任期満了に伴う宮城県の塩釜市長選(9月1日投開票)が25日に告示される。東日本大震災で被災し、復興途上にある塩釜。市民の針路選択の時を前に、現状や市政課題の一端を探る。
(塩釜支局・松田佐世子)

 平成から令和に時代が変わる頃、水産都市・塩釜では改元の祝賀ムードを一掃させる悲報が相次いだ。4月24日、遠洋漁業の加藤漁業(塩釜市)が破産手続きの開始決定を受け、5月17日には水産練り製品製造のマルヨ鈴木商店(同)が事業を停止。基幹産業を支えた老舗2社の苦境に、関係者の動揺は大きい。
 「ショックで残念。いい物を作り、商品開発にも力を入れていたが…」
 マルヨ鈴木商店が会員だった塩釜蒲鉾(かまぼこ)連合商工業協同組合の事務局担当者は惜しんだ。
 組合の会員は現在20社。法人化した1978年は70社だったが、2008年ごろには23社になり、なお微減が続いた。
 「同業者が会えば『大変だ』『やっていけない』があいさつ代わり」と、塩釜市団地水産加工業協同組合(加盟70社)の岸柳乃布夫組合長。「悲鳴だらけ。負債さえなければすぐにでもやめたい、という声も多い」と明かす。

■回復しない販路

 東日本大震災後に事業を立て直しても失った販路は回復しない。原料高や国内の消費低迷など取り巻く環境は厳しい。外国人技能実習生に頼ったり、人員を減らして家族だけで操業したりして苦境をしのぐ。
 岸柳組合長は「夢が見いだせない。市のトップになる人は基幹産業をどうするのか示してほしい」と訴える。
 破産手続き中の加藤漁業は昭和初期の創業で船2隻を所有し、1隻は塩釜港を拠点としていた。船は別会社の所有となったが、塩釜市魚市場への水揚げは続き、働き掛けた市関係者は安堵(あんど)している。

■魚種拡大に活路

 市魚市場の2018年の水揚げは1万7833トン、97億1718万円。ここ数年、水揚げ額は100億円前後で推移する。主力のメバチマグロやクロマグロの資源管理、漁船の燃料高などで先は読みにくい。
 市魚市場に入る二つの卸売機関は来年4月の統合を目指し、協議中だ。その一つ「塩釜魚市場」の志賀直哉社長は「水揚げ額が500億円あった時代とは違い、今は互いに大変。力のあるうちに一緒になり、産地間競争を生き抜く」と意気込む。
 水揚げ目標は120億円、2万トン超。漁船受け入れのため凍結庫・冷蔵庫の増設を行政に要望し、扱う魚種の拡大に活路を求める。


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2019年08月20日火曜日


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