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#シギセン 若者のつぶやき@仙台(5完)政治の話 日常の会話で

顕微鏡を駆使し、分子磁石の研究に没頭する黄さん=仙台市青葉区の東北大金属材料研究所

 仙台市議選(25日投開票)が始まり、真夏の論戦が熱を帯びる。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初めての市議の選択機会。若い世代の投票率にも注目が集まる。杜の都の若者は政治に何を期待し、目の前の「シギセン」に何を思うのか。つぶやきを拾う。
(報道部・石川遥一朗、三浦夏子)

◎台湾人留学生 黄柏融さん(26)

 静まり返った研究室が不思議でならなかった。
 東北大大学院理学研究科の台湾人留学生、黄柏融さん(26)は2016年に来日し、母国との違いに驚いた。日本人の学生が黙々と作業し、研究室に会話がない。台湾では研究内容や方法を巡り、学生同士で議論することが珍しくない。
 大学院では「分子磁石」を研究する。高性能顕微鏡やコンピューターを駆使し、分子レベルの磁石を作る。研究に没頭する日々だが時折、台湾のにぎやかな研究室が懐かしくなる。
 日本人は政治に対してもおとなしいと思う。仙台に暮らして約3年半、2回の参院選と衆院選、知事選、市長選が行われたが「政治の話を振られたことがない。まるでタブーになっているかのようだ」と感じる。
 7月の参院選もそうだった。宮城選挙区の候補者の街頭演説を見たが、立ち止まって聞くのは数十人。台湾の国政選挙なら数百人は集まる。「政治は暮らしに深く関係するのに、どうして通り過ぎて行けるのか」。政治への無関心は若者だけに限らないと思った。
 台湾では国政、地方政治を問わず、政策や方針に不満のある学生が街頭デモを頻繁に行う。自分は参加したことがないが、友人の半数以上は経験している。
 普段の会話で政治が話題になることも多い。スポーツや芸能人の話で盛り上がるように、レストランやカフェで原発政策の賛否などを語り合ったりする。
 議論が熱くなり過ぎるところは確かにある。「同温層」。台湾で最近話題の言葉だ。「同じ考えを持つ人たち」の意味で、同温層を外れた人と感情的に対立してしまう傾向がある。単なる会話が、つかみ合いに発展することも多々ある。
 だが、対立はしても「みんなで国を良くしよう」という機運が台湾にはある。
 日本の若者が投票に行かないのは、現状維持を望んでいるからと言われるが、「何もしないことと、現状を肯定することは全然違うのではないか」と思う。


2019年08月23日金曜日


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