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<人駅一会>(12)再生港町 熱波に揺らめく

夏の日差しと「逃げ水」の中で走るBRTの車両。「かもめ通り商店街」の辺りは人通りも少なく、 本格的な復興はこれから
佐川陽介さん

 東日本大震災で分断された交通網が、長い一本の線につながろうとしている。傷跡を癒やしながら、少しずつ復興に向かう被災地の数々。点々と海沿いに続く駅を起点に訪ね歩いた。

◎佐川陽介さん(35) 写真館経営 気仙沼市中みなと町

 暑い夏の盛りには、店の前を走る車が熱で揺らめいて見えます。復興工事が進むにつれ、コンクリートやアスファルトが目立ってきたためでしょうか。
 もともと港町に密集して建っていた家々は、東日本大震災によってまばらになり、日陰も少なくなった。気のせいでなく、昔より暑くなったように感じてしまいます。
 祖父の代から気仙沼市の鹿折地区で写真館を営んでいます。津波で店も自宅も写真もフィルムも、何もかもが流されてしまいました。
 仮設店舗を経て再出発したのは、おととしの4月。地元の商店主らが鹿折に復活させた「かもめ通り商店街」に新しい店を造り、仕事を始めました。
 被災した人たちは、家族で撮る記念の写真を大切にするようになりました。こちらがカメラを向けても昔のように変に身構えることなく、とてもいい表情を見せてくれる。
 かけがえのない命を失うという、つらい経験をしたからではという気がしています。

◎鹿折唐桑(大船渡線BRT)

 気仙沼市の鹿折地区は東日本大震災の津波と大規模な火災で壊滅的な被害を受けた。復興に向け、住宅や商店用に547の区画が整備される予定。駅周辺は飲食店やドラッグストアが建ち並び始めたが、利用の見通しが立っていない区画も少なくないという。
(文・写真 長南康一)


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2019年08月25日日曜日


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